海未「・・・・・そうなんです」【前編】





113: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 14:47:25.85 ID:bUb565k/0


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ビュオー! ガサガサガサ!
ババババ!



「・・・・・うっ」

「・・・・・くっ」


海未(・・・・・・・んん?)


「・・・・・ひっく」


海未(・・・せっかく寝つきはじめたというのに・・・誰ですか声を出しているのは)


「・・・・・うっぐ、く」


海未(穂乃果ですね。私の眠りを妨げるなど許せません。制裁を与えます)キッ

海未「穂乃果っ。いいかげ・・・ん、に・・・?」キョトン


穂乃果「ひっく、うっぐ、ごめ・・・・ごめん・・・なさい」


海未(な、泣いているのですか・・・? 暗くて顔は全く見えないですし、吹き荒れる風雨の音で声はよく聞き取れませんが・・・嗚咽をもらしているような・・・)

海未「ほ、ほのか? ど、どうしたのですか? どこか痛いのですか?」

穂乃果「わ、わたしのせいで・・・・ぐす、ぐす・・・・こんな、ことに・・・ひぐ・・・ごめ・・・」

海未(謝っている?)


114: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 14:54:38.78 ID:bUb565k/0


穂乃果「ごめん・・・ごめ・・・ごめん、なさい・・・ごめんなさい・・・ううっ・・・」

海未(・・・・。自分を責めているのですか)

穂乃果「ごめん、なさい。ひ、うぅ・・・わたしが・・・山の中に入ろうだなんて言わなければ・・・・ごめ、ごめんなさい・・・」


海未「・・・・・・・」


海未(どうしてですかね――)


穂乃果「ひっく、うぅ、・・・ぐす」


海未(一番の親友がこんなに落ち込んでいるのに―――)


穂乃果「ごめん・・・なさい・・・私が北海道に行こうなんて言わなければ・・・ひっく、ぐす」


海未(私は今、とても気分がいい)


海未「ふふっ」


海未(こうやって一緒の布団に入って眠る時、電気を消した後にいつも、穂乃果は本音を私に漏らすんです)

海未(ライブが大成功した時、家族と喧嘩して家出した時、嬉しかったこと、悲しかったこと、気に入らないことがあって愚痴を聞いて欲しい時・・・・・眠ってしまうまでの間、布団の中で二人っきりでいつもたくさんの話をしました)

海未(物心ついた時からこの年になっても、全然変わらない穂乃果)


穂乃果「うみちゃ・・・ことりちゃ・・・ごめ、ん・・・ひっく」


海未(・・・・先程は、死の恐怖に怯えていた私を、穂乃果が励ましてくれました)

海未(帰ることに強い決意を見せて、私とことりをその持前の明るさで元気付けてくれました)

海未(貴女はいつも能天気で楽観的で呑気でお気楽で大雑把でいい加減な人に見えますが・・・その実は自分より友達の事を優先する犠牲心があり、それでいてとても繊細な心の持ち主・・・なんですよね。私は生まれる前から貴女とずっと一緒だから、よく知っています)

海未(繊細な心を持っているからこんなにも自責の念に囚われている)


穂乃果「私のせいで・・・私のせいで・・・!」


海未(そんな心の奥を・・・そんな弱さを・・・本音をいつも私に晒してくれて・・・・・私は本当に嬉しいです)




115: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 14:57:58.24 ID:bUb565k/0




 ....スッ ペタッ



穂乃果「ぐすっ・・・―――あっ、ぅえっ? う、みちゃ・・・?」グスグス

海未(真っ暗闇のこの中では穂乃果の顔はよく見ませんが・・・手さぐりで穂乃果の頬に触れると、しっとりと濡れている)

海未(こんなに泣いて・・・)


海未「・・・・・穂乃果」

穂乃果「・・・んっ、みちゃ・・・。ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」グスグス


海未「・・・・聞いてもらえますか?」

穂乃果「うぅ、うっうっ・・・」グスグス


海未「・・・・・確かに今はとても辛い状況です。間違った行動をしたら死にます。こんな危険な状況になったのは穂乃果のせいです。ハッキリ言って物凄く迷惑しています」

穂乃果「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・」

海未「でも、いいんです。それで」

穂乃果「・・・・え?」


海未「穂乃果に迷惑を掛けられるなど、今まで何百回とありました。今回もその内の一つです」

穂乃果「・・・・・・」


海未「もう、慣れっこなんです。穂乃果に迷惑を掛けられるのは。そして私は知っているのです―――」

穂乃果「・・・・・・?」

海未「迷惑を掛けられる度、他の誰もが辿りつけないような場所へと、私やことりを貴女が連れて行ってくれる。それはとても楽しく気持ちが良く、心の底から興奮するのです。私はそれがもうすっかり癖になっています」

海未「なんにも囚われないで、一番やりたいこと、一番面白そうなものにひるまずまっすぐに向かっていく。それは穂乃果にしかできないことです。それが貴女の良い所です。そのままの貴女でいいんです。これからも変わらずそんな穂乃果であってほしいと私は思います」






116: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 15:13:19.36 ID:bUb565k/0



穂乃果「・・・・私はそんなすごい人じゃない。迷惑なんてかけたくない。私、このまま変わらなかったらいつか海未ちゃんとことりちゃんに取り返しのつかないキズをつけてしまいそう・・・」

穂乃果「そんなことになったら・・・私、もう海未ちゃんとことりちゃんに顔向けできない・・・ずっと一緒に居たいのに・・・そばにいられなくなっちゃう・・・・!」


海未「穂乃果・・・」クイッ

穂乃果「? うみちゃ―――んっ?! んむっ・・・」



    ....チュ



穂乃果「んっ・・・・。ぷは・・・はぁ、はぁ・・・」トローン

海未「んっ・・・。穂乃果」

穂乃果「うみちゃ・・・」ポヘー


海未「これは今の貴女への私の気持ちです。私にここまでさせておきながら今の自分を変えようだなんて言うのは許しません」

穂乃果「・・・・・」ポー


海未「・・・・苦しい時は私が支えます」

海未「それはもちろん、これからの道のりの中で、くじける日もあるでしょう。泣き出す日もあるでしょう。逃げ出したい日もあるでしょうし、待てない日もあるでしょう」

海未「そしてどこからか黒い雲が現れて一瞬、まぶしい夢をその目に見られなくなる日もあるでしょう。でも、その時は必ず。私が支えてみせます」

海未「青空が、金色の輝く太陽が、再びあなたの頭上に輝く日まで」


グイッ

海未「・・・・・」抱き寄せ

穂乃果「ふぁっ」ポフッ


海未「産まれる前からお腹の中にいるときからの幼馴染の私達。きっとこのまま大人になっても。おばさんになっても、おばあちゃんになっても、いつまでも。ずっとずっと私達は近くに、同じ場所にいるような気がします。いつまでも」

海未「だから私は穂乃果とずっと一生友達です。一生の友達だから、他の誰かが穂乃果を見捨てても、私が最後まで穂乃果のそばにいます」

海未「時には周囲をかき乱し迷惑をかける貴女の事を嫌う人もいるかもしれません。ですが何があろうと私は、何にでも物怖じしない強さがありながら、人の苦しみで自分を弱らせてしまう穂乃果の事が好きです」

海未「これからの長い人生で誰も貴女の味方になってくれない時があっても、私だけは、強そうで弱くて弱そうで強い、不思議な力を持っている貴女の、ずっと一生、味方になろうって―――」

海未「随分前に私は、そう決意しています」


穂乃果「ひっぐっ・・・うみちゃん・・・・」グスグス

海未「・・・・・」背中なでなで


穂乃果「うみちゃんに、してもらうばっかりで・・・ほのかは・・・うみちゃんに、なんにもしてあげられないのに・・・っ」

海未「そんなことはありません。・・・・私にも辛い時はあります。先程のように自分を見失ってしまうこともあります。ですが、そんな時はいつも穂乃果の強く前向きな眼差しに支えられました」

海未「そんな風に辛い時はお互いに支え合いたいです。そうすれば、貴女といつもまでも楽しく過ごせますから」


穂乃果「・・・・・・・ありがとう。・・・・ありがとうありがとう。うみちゃん・・・ありがとうっ・・・・・!」グスグス

海未「穂乃果・・・・・」ギュウ










117: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 15:19:41.05 ID:bUb565k/0


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◇ 7月28日 5:00 朝曇り



 < チチチチチ
 < チュンチュン
 < ピョー,ピョー



海未「ん・・・」パチッ

海未(明るい・・・。朝・・・ですか)

海未(静かですね・・・。遠くから鳥の鳴き声が聞こえる。雨と風の音はしない)

海未(なんとか、乗り切ったようでね・・・)

海未(ここは緩い傾斜になっているから、それで水が下へ流れてテントへの浸水も防げたようです)

海未「ふぅ・・・・とりあえず生き残れました・・・・・よかった・・・・」



海未「穂乃果、ことり」

穂乃果「くあー、くー・・・」

ことり「・・・・・・」

海未(二人ともまだ寝ていますね・・・・そのままにしておきましょう)

海未(とにかく無事でよかった)

海未(今何時でしょうか。おっと、スマホは壊れてるから時間は分かりませんね・・・)

海未(そういえば、ことりが腕時計をしていました。後で見せてもらいましょう)



海未「んっ、ふぁ~ー・・・・・・」

海未(特にすることがありませんね)ポケー



 テケテケ



海未(・・・・おやっ。テントのインナーシートの外側にアリとカエルと・・・よく分からない虫が歩いています)

海未「・・・・」ジーッ


 アリ「」テケテケ

海未「・・・・」ジーッ


 カエル「」ピョンピョン

海未「・・・・」ジーッ


 よく分からない虫「」カサカサ

海未「・・・・」ジーッ


 カエル「ビョ~ン」バク


海未「あっ」


 アr「ちょおま」食われ
 カエル「ウマウマ」モグモグ

 よく分からない虫「ヒョエー ニゲロー」カサカサ




118: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 15:25:30.33 ID:bUb565k/0




海未「・・・・・・」

海未(・・・・・・ちょっと外に出てみますかね)


ゴソゴソ

海未(靴、全然乾いていませんが仕方ありませんね。そのまま履いちゃいましょう)

海未(さて、外に―――)パサッ


海未「うわっ、っと・・・結構寒い・・・」ブルッ 両腕抑え

海未(7月とは思えない寒さです。雨上がりというのもあるんでしょうけど、北海道の山の中ですからかね)

海未(・・・・寝袋とテントが無ければ死んでました)

海未「・・・・・っ」ゾーッ...

海未(あーもう! いけません心を乱しては。深呼吸して気持ちを落ち着けましょう)



海未「んー。すぅぅー・・・」

海未「はぁぁー・・・」


海未(辺りが霧に覆われています。雨上がりで、ツンと冷えた空気)

海未(山中独特のとても澄んでいる空気・・・・それが肺に入った瞬間に全身が清涼感で満たされるような気分です)

海未(一気に頭がすっきりしました)






119: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 15:27:28.47 ID:bUb565k/0

120: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 15:31:17.87 ID:bUb565k/0



 < チュン、チュン
 < チチチチチチチ

 ポツ ポツ



海未(鳥の鳴き声に、木の葉についた雨露が落ちる音・・・・。草木は朝露で濡れ、朝日を反射してキラキラと輝いていて美しい・・・)

海未(気持ちが良いです。もう一度深呼吸をしましょう)



海未「すーっ、はーっ・・・」

海未「ふー・・・」



海未(なんと静かで、穏やかで、清々しく、爽やかな朝なんでしょう。昨晩の大嵐が嘘のようです)


海未(・・・昨晩は本当に怖かったです。風で壊されそうなテントの中、穂乃果と一緒に同じ寝袋に入って身を寄せ合って―――)



~~~~~~~~~~~~~~~~

海未「穂乃果・・・」クイッ

穂乃果「? うみちゃ―――んっ?! んむっ・・・」

    ....チュ

~~~~~~~~~~~~~~~~



海未「んんっ!!?!////」バッ

海未「あっ・・・ああ!///」カァァ

海未「あ、あれは夢じゃない・・・? ですよねっ?! わ、わわ私は・・・な、ななな、なんてことをっ・・・!!!///」悶え

海未「いくら怖かったとはいえ・・・な、なんで私はあんなことを・・・は、破廉恥な///」

海未「私の馬鹿! 馬鹿!/// いきなり、き、ききき....ス/// するなんてどうかしてます!/// おかしいです! 昨日の私はおかしかったのです!」




121: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 15:32:24.50 ID:bUb565k/0



海未「・・・・・・・」


海未「あ、あれ? 特に後悔を感じないのはどうしてでしょう・・・?」


海未「・・・・・・・」


海未「・・・・・やっぱり、穂乃果だから・・・ですかね・・・」

海未「・・・・・・///」

海未「塩味・・・でした///」

海未「はっ・・・! なんて自己中心的な考え・・・。私は最低です!」

海未「私は良くても、穂乃果が嫌がっていたら・・・」

海未「嫌がっていた・・・?」



~~~~~~~~~~~~~~~~

穂乃果「・・・・・・・ありがとう。・・・・ありがとうありがとう。うみちゃん・・・ありがとうっ・・・・・!」グスグス

~~~~~~~~~~~~~~~~



海未「・・・・」

海未「・・・・・ほのか///」ポッ







122: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 15:36:19.44 ID:bUb565k/0


 パサッ

ことり「海未ちゃん」

海未「わあ!!??」バッ

ことり「きゃ」ビクッ

海未「あ、ああ・・・」バクバク

海未「こ、ことりですか・・・・はぁはぁ・・・おは、おはようございます」バクバク

ことり「う、うん。おはよう。どうかしたの?」

海未「ふぅー・・・・い、いえ、お気になさらず。それより足の具合はどうですか?」

ことり「うん、動かすと、やっぱりとても痛くて・・・」

海未「無理に動かさない方がいいです。安静にしてもう少し眠っていた方がいいですよ」

ことり「それは・・・そうなんだけどね・・・」 ...モジモジ ウツムキ

海未「?」

ことり「・・・う、海未ちゃんは、今何をしていたのっ?」

海未「へ!?/// わ、私ですかっ!?」

ことり「うんうん」

海未「えーっと、そ、そそそれはですねぇ・・・/// あっ! そうです! 深呼吸をしていました! 見てください、この爽やかな朝を! ここで深呼吸すると、とても気持ちがいいんですよ!」

ことり「う、うん! ちょっと寒いけど、気持ちがいいね!」

海未「そ、そうです! とてもいいですよね!」


ことり「・・・・・・」モジモジ

海未「・・・・・・」


海未「・・・・・?」

海未(どうしたんですかね、ことり。ちょっと様子がおかしいような。・・・いえ、私も人の事言えませんが・・・)


ことり「・・・・・・・・・あの、ね。海未ちゃん」

海未「? はい、なんでしょう?」

ことり「ちょっと、お願いごとがあって・・・」

海未「はい、なんでも言ってください」

ことり「えへへ」チラッ

海未(? なんでしょう。ことりは一瞬テントの方に目をやりましたが)

海未(あっ。もしかして穂乃果の方を見たのでしょうか。つまり、 “穂乃果に聞かれたくない” ということですかね)

海未(ことりは足をケガしているので、動けません。ですから小声で話せるように私から寄らないと)ススッ


海未「これで話せますか?」ボソッ

ことり「ありがと、海未ちゃん」ボソッ

海未「はい。なんでも言ってください」ボソッ






123: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 15:39:48.08 ID:bUb565k/0



ことり「・・・・・・」

ことり「・・・・・・あのね」ボソッ

海未「はい」ボソッ


ことり「....ワタシ」ボソッ

海未「はい」ボソッ


ことり「.....オハナ...ツミニ イキタクテ...」ボソボソ

海未「お花?」

ことり「う、うん///」カァ

海未(なんでこんな時にお花を?)

海未(・・・・はて?)キョトン



海未「・・・・あっ」

ことり「////////」ウツムキ

海未「す、すすいませんっ。そ、そういう意味でしたかっ」

ことり「ぅん///」

海未「あ、えっと・・・そうですね・・・えーっと」アタフタ

海未(た、確かに・・・今のことりでは、一人ではできないですね。私がしっかりサポートしないと!)

海未「分かりました。任せてください。とりあえず、少し離れた所に行きましょうか」

ことり「う、うん。・・・・本当にごめんね、海未ちゃん」

海未「お安いご用ですよ。まずはテントから出ましょう。手を貸します」

ことり「うん、ちょっと待って、靴を―――」ゴソゴソ

海未「無理に靴は履かない方がいいですよ。ちょっと失礼しますね、ことり」グイッ

ことり「ひゃ」

海未「よっと」ヒョイ

ことり「はわわ/// お姫様抱っこ///」

海未「ふふ。さ、行きましょう」ニコ

ことり「は....ハイ//////」キュン










124: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 16:23:46.12 ID:bUb565k/0



 ....ノソノソ パサッ

穂乃果「あれ~・・・海未ちゃん、ことりちゃんどこいくのー? ふぁ~・・・・」ネムネム

海未「わっ?! ほ、ほのっ・・・・か」

ことり「ほ、ほのかちゃ・・・えっと・・・それはぁ・・・」モニョモニョ

海未「べ、別に大したことではありません。ちょっとそこまで・・・」ゴニョゴニョ

穂乃果「??? 穂乃果も行く~・・・」

海未「い、いえっ! ホント、お気になさらず! 穂乃果はゆっくりしててくださいっ」

穂乃果「??? 分かったあ・・・・ふあー・・・」ネムネム

海未「ほっ・・・」


海未「そ、それじゃ・・・」ザッ

穂乃果「うみちゃ~ん・・・」

海未「今度は何ですか」

穂乃果「ほのか。おトイレ行きたい」

海未「なっ///」

ことり「!///」

穂乃果「どこぉ~?」

海未「なっ、うっ・・・」シドロモドロ

海未「・・・あ、あ、ありません!」キッパリ

穂乃果「ぇう~??」

海未「こんなところにおトイレなんてあるわけないでしょう! 我慢なさいっ!」

穂乃果「そんなあ・・・」

ことり「海未ちゃん・・・それはあんまりだよぉ・・・」

海未「うっ・・・」







125: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 16:27:01.28 ID:bUb565k/0


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テントからちょっと離れた所



ことり「うぅ・・・恥ずかしいぃぃ・・・」

穂乃果「何でっ? 恥ずかしくないよ! 私達よく三人で銭湯行くでしょ。お風呂もおトイレも一緒だって!!」

ことり「ふぇぇ」

海未「穂乃果・・・あなた自分が一体どれほどの失言をしているか理解していますか?」

穂乃果「大丈夫だって。本当に気にしないでよ! さ、ことりちゃん。安心して、サッっとしちゃお! ズボン降ろすね」ガシッ ズルッ...

ことり「まっ! 待って! 待って、お願い、穂乃果ちゃん!」

穂乃果「どうしたの? とりあえずズボン降ろすね? パンツも」ズルル

ことり「だ、だからぁ・・・えっと・・・拭くものが・・・」

穂乃果「ああ・・・ティッシュがないのか」

海未「そうですね。すいません気が付かなくて」

ことり「ことり、ポケットティッシュをカバンに入れてるから・・・」

穂乃果「分かった! 取ってくるよ」

海未「待ってください、穂乃果」

穂乃果「?」

海未「ティッシュもゴミです。山にゴミを捨てるなんてダメです」

穂乃果「ええ・・・。じゃあ、どうするの?」

海未「それは、もちろん。ほら、例えばあれとか」



あれ↓

 (葉っぱ) ヒラヒラ



ことり「えっ」

穂乃果「・・・・海未ちゃん・・・本気?」

海未「し、仕方ないじゃないですかっ。とにかくっ、私がことりを支えていますので取ってきてくださいよ」

穂乃果「うへぇ~・・・。分かったよお・・・・・・・」トボトボ

海未「あっ、なるべく大きいのを多めにですよ」

穂乃果「は~い・・・・」テクテク

ことり「うっ、うっ」シクシク




穂乃果「信じらんないよ海未ちゃん・・・」スタスタ


穂乃果「現代っ子の東京っ子の女の子にこんなことさせるなんて・・・・」ブチブチ


ブチブチ
 ブチブチ







126: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 16:31:30.50 ID:bUb565k/0


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穂乃果「はい、てんこ盛りに取って来たよ・・・」

海未「ありがとうございます。さ、ことり、今度こそ」

ことり「あ、あの・・・その・・・」

海未「本当に気にしませんから」

ことり「ちがくて・・・」

穂乃果「大丈夫だから! さっと、ちょろっと!」

ことり「ちょろっと、できないのお・・・・」

海未「・・・・?」
穂乃果「・・・・?」

ことり「だからぁ! おっきい方なの!! ふえーん・・・」シクシク

海未「 」

穂乃果「・・・えっと、その」

ことり「うっ、うっ」シクシク

穂乃果「あ、ああ! そうだよね! いいよ仕方ないよ! 昨日ラーメン一杯食べたもんね! きっとそれだよ!」

海未「そ、そうです! 私達も一緒に食べましたから、一緒にしましょう!」

穂乃果「えっ」

海未「あっ・・・」

ことり「しっく、ひっく・・・」グスグス


穂乃果「そ、そうだね! そうだよ! 海未ちゃんの言う通り! 赤信号みんなで渡れば怖くない! 外でのうんこみんなですれば恥ずかしくない!」

海未「え、ええ! さあ、私はもうズボンを降ろしましたよ!」ズルッ

穂乃果「穂乃果も!」ズルッ

ほのうみ「「ことり(ちゃん)も!」」ズルゥ

ことり「ふえ~ん・・・」シクシク

海未「さ、ことり。私と穂乃果でしっかり両側を支えていますから。三人で息を合わせてしましょう」

穂乃果「そうそう! いつも私達歌やダンスを合わせてるでしょ? それと同じようにうんこも合わせればいいんだ!!」

海未「そうです! いまこそ練習の成果を発揮しましょう!」

穂乃果「ファイトだよっ!」

海未「ファイトですっ!」

ことり「ぐすっ・・・」



海未「んっ」
ことり「ん....」
穂乃果「ふんっん!」



・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・







127: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 16:33:56.34 ID:bUb565k/0


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ザッ ザッ

海未「こうして穴に埋めておけば山の肥料になります」

穂乃果「ことりちゃんの所からは綺麗な花が咲きそう」

ことり「うぅ・・・もうお嫁にいけない・・・」シクシク

穂乃果「何言ってるのお嫁なんかに行けるわけないじゃん。だってことりちゃんは穂乃果と一昨日結婚したんだよ。ことりちゃんは穂乃果のお嫁さん! 誰にも渡さない!」

ことり「んんっ//////」



海未「さ、ことり、あんまり足に負担を掛けてはいけません。テントに戻ってしばらく横になってください」

ことり「うん・・・穂乃果ちゃん、海未ちゃん。本当にごめんね。こんなことまでさせちゃって。ありがとう」

穂乃果「全然! またもよおしたらすぐに言ってね!」

ことり「ぅ・・・ぅん・・・///」







128: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 16:42:57.67 ID:bUb565k/0


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ことりはテントの中に、
海未と穂乃果は近くにあった倒木に腰を掛ける



クゥ~

穂乃果「あう・・・。お腹減った・・・」

海未「そうですね・・・。ですがこのような状況ですし、簡単に戻れない場合を想定して食料や水はなるべく温存しておくべきかと・・・」

穂乃果「そっか・・・。ねえ。これからどうする? 駅まで戻れるかなあ?」

海未「う~ん・・・。駅までは10kmも無い距離だとは思いますが、天然の迷路を進んで、更に暗い中ことりを助けるためにがむしゃらに動いてしまったから、駅までの方角が全く分からないんですよね・・・」

海未「かといって当てもなく下手に動いたら、余計に山奥に迷い込む可能性がありますし」

穂乃果「そうだよねぇ・・・・」


穂乃果「じゃあここでじっとしているのはどうかな? 遭難したら自力でなんとかするんじゃなくて、救助が来るのを待つのがいいって聞いたことがあるよ」

海未「救助が来ると思います?」

穂乃果「えっ?」

海未「確かに、その場の状況にもよりますが登山で遭難した対処として、無理に動かず、体力を温存し、救助を待つのも手です。しかし、それは入山する際に入山届けを提出していることが前提です」

海未「入山届けに記載した予定下山日になっても帰ってこない人がいたとしたら、救助隊は救助に向かいます。ですが、私達の今の状況はどうでしょう?」

穂乃果「・・・・」

海未「入山届けなんて提出していません。それにスマホは雨に濡れて壊れましたし、通信はできません」

海未「それでも何日かして私達がこの旅行から帰る予定日に家に帰らなければ、家族が警察に捜索願いを出すでしょう。そして捜索の手がかりとして家族は私達の行先を警察に伝えると思います。私達の行先とは札幌や旭川、昨日着くはずだったキャンプ場です」

海未「ですが私達はたまたま電車を乗り過ごしてしまい、予定に無い行先でしかも駅から離れたこんな山奥にいます。ここに私達がいるなど、誰が推理できるでしょうか?」

穂乃果「・・・・」

穂乃果「・・・・そっか」ジワッ





129: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 16:45:07.25 ID:bUb565k/0


穂乃果「そうだよね・・・どうにもならないよね・・・・穂乃果のせいで・・・・」ウルウル

穂乃果「ごめんね。本当にごめんなさい・・・」グスグス

穂乃果「穂乃果があの獣道に入ろうってさえ言わなければ・・・こんなことには・・・」ポロポロ

海未「あっ! い、いえ、違うんです! 決して穂乃果のことを責めたつもりじゃ!」ガシッ

海未「昨日も言いましたが、私は――――・・・あっ、昨日は///」

穂乃果「きのう・・・? あっ///」

海未「えっと/// その・・・・昨日の夜///」

穂乃果「・・・・う、うん////」

海未「で、ですから、そういう訳で/// じ、自分を責めないでください」

穂乃果「は、はい・・・///」ウツムキ

海未「・・・・・・////」ウツムキ

穂乃果「////」



  テントの中 < んっふふ~♪



海未「・・・はっ! と、とにかくですよ!/// 他に手がないかを考えましょう!///」

穂乃果「そ、そうだね!/// ほのかも考える!///」


海未(ええい!/// 雑念よ消えなさい!/// 今はそれどころじゃないはずです!)

海未(落ち着きましょう! 落ち着いて・・・)

海未「すー、はーっ」

海未「・・・・ふぅ」






130: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 16:53:40.15 ID:bUb565k/0



海未(どうにかして助かるには・・・)

海未「う~む・・・・」


海未(ことりと穂乃果はここに居てもらい、比較的登山に慣れている私が辺りを歩いて駅までの方向を探るか・・・)

海未(・・・いえ、単独行動は危険ですね。もし途中で私が転んだりしてケガをして身動きが取れなくなったらお終いです)


海未(近くに川があるので、こういうときは川に沿って下流に歩きたくなるものです。下るのは体力的に楽ですし川沿いに歩けばいずれ海に出て、海岸沿いに歩けば必ず人里に当たります)

海未(・・・しかし、日本の川は高確率で滝があります。滝とはつまり崖であり、十分な装備が無ければ崖は降りられません。だからといって後戻りなんてしたら体力・精神力を大きく失います)

海未(それに、川が海にたどり着く前に、川が地下水に入ったり、山奥の湖にたどり着いたりして川が無くなってしまうかもしれません)


海未(そういったことがあるので、登山で遭難した場合の鉄則は尾根を目指して登ることです。森林限界を超えた高い位置に居た方がヘリに見つけられやすいし、通信機の電波が繋がりやすくなるし、辺りの地形を確認しやすいし、登山道に出られる可能性があるからです)

海未(・・・しかし、ここは観光登山で上るような山ではないでしょう。私達が降りた駅は滅多に人が訪れない雰囲気でした。だから登山道があるとは思えません。それに、どれくらい登れば尾根に出られるかも分かりません。なにより、ことりを背負って山登りするのは無理です・・・)


海未「はぁ・・・」

海未(川に沿って歩くのは得策ではない、登ることもできない。ではどうすれば・・・)



海未(そうだっ。希だったらこんな時どうするでしょうか。何か言っていたような・・・―――)



~~~~~~~~~~~~~~~~

希「川に沿って下流に歩くのは確かに危険やね。寒いし、救助に見つけられにくいし、鉄砲水とか渓谷とか崖とかが怖いから。だから山で遭難したらひたすら登るべき・・・・とはよく言うけど、それもその時の状況によるんやないかなあ」

希「例えば地図やコンパスが無くて、現在地位や山の地形や標高が全く分からないとか、ケガをして歩くのが辛いとかだったら、登る方がむしろ危険やろ。途中で体力が尽きて何もできなくなったお終いやん」

希「逆に、人里が近いとか標高が低い場所にいるとか、そういうのが分かっているのなら川沿いに下って歩くのもありかも? 標高が低いなら滝に当たる確率も低いやろうしね」

~~~~~~~~~~~~~~~~



海未(―――・・・なるほど。ここは駅から10kmも離れていないでしょうし、森林限界も超えてないので標高もそれほど高くないはずです)

海未(・・・ありがとうございます。希)







131: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 16:59:12.31 ID:bUb565k/0



海未「穂乃果。ことり。やはりここは歩きましょう。川まで戻って川沿いに下流に向かって歩くんです」

穂乃果「川沿いに? でもあの川が駅の近くを流れていた川と同じかどうか分からないよね?」

海未「ええ、そうです。ですが例え同じ川でなくとも、また、例え駅とは逆方向だとしても、ひたすら川沿いに歩けば途中で線路か道路か人里にぶつかる可能性があります」

穂乃果「ひたすら歩くって、どれくらい?」

海未「それは分かりません。1kmか、10kmか、50kmくらいか」

穂乃果「ご、ごじゅうって・・・そんなに歩けないよ・・・」

海未「ええ、そうでしょうね。しかも人を一人背負ってですから余計に長い距離は歩けません」

海未「だからといって、このままここで食糧が尽きるまでただ待っていたら助かる確率はゼロです」

海未「ですが食糧が尽きる前に川に沿って歩けば助かる可能性はわずかながら出てきます」

海未「待つだけ待って野垂れ死ぬくらいなら、わずかな可能性に賭けて、ここは歩くべきかと」


穂乃果「そう・・・・。分かった。大変かもだけど、歩くしかないのかな」

海未「ことりはどうですか? 私が背負って歩きますが、それでも何かと負担を掛けてしまうかもしれません」

ことり「ことりは大丈夫。海未ちゃんを信じるよっ」

海未「決まりです。歩きましょう」


海未「それでは、とにかく一番大事なのが水と食糧です。私達三人が今持っている水と食料の量を確認しましょう」

穂乃果「うん、ちょっと待ってね。こんなことになるならフェリーとかバスの中であんまりお菓子食べなければよかったなあ・・・」ゴソゴソ

穂乃果「ペットボトルのジュースもいくつか持ってたけど、昨日暑くてたくさん飲んじゃったからあんまり残ってないかも・・・」ゴソゴソ







133: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 17:06:29.00 ID:bUb565k/0


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海未「これで全部ですね」

穂乃果「意外とあったねー」

海未「ええ。食べ物はグミ、飴ちゃん、プリッツ、ポテトチップ、ことりの手作りクッキー、マカロン、ゼリー飲料、バランスパワー、角切り餅、乾燥ワカメ、即席味噌、金箔押しカードなど全33種類のカードのいずれか一枚が封入されている全国のコンビニ・スーパーのお菓子売り場でお手軽にお買い求めできるバニラクリーム味のラブライブ! サンシャイン!! ウェハース2 がありましたね」

穂乃果「飲み物はイチゴミルクと、オレンジジュースと、ペットボトルの水3本と、アクエリが1本。海未ちゃんはペットボトル4本も持ってたんだね。重かったでしょーに」

海未「ええ。整備されたキャンプ場に行く予定だったとはいえ、一応と思って非常食と水は持っていました」

海未「それより穂乃果が持っていてくれたお菓子の方があってよかったです。お菓子類は糖分とカロリーをたくさん摂取できるのでかなり重要です。遭難時にはこれのあるなしで生死を分かつこともあるくらいですから」

穂乃果「えへへ~。たくさん持ってきておいてよかった」

海未「・・・しかしこれだけあっても、三人で食べ続けたら一日持つかどうか。それまでに抜け出せる事を祈るしかありません」

穂乃果「そっか・・・大事に食べないとだね」

海未「とはいえ、歩き出す前に何か食べませんと低血糖で動けなくなります。糖分の多いお菓子は残しておいて、今はバランスパワーを一人一本食べましょうかね」パカッ

穂乃果「うん、いただきまーす」

海未「ことりも、はいどうぞ」

ことり「ありがとう。 ・・・・」

穂乃果「んぐんぐ。・・・・うへっ、口の中パサパサする・・・」

海未「水を飲むなら半口くらいでお願いしますよ」


ことり「・・・・・・あ、あの。海未ちゃん」

海未「はい?」

ことり「私、やっぱりいらない。穂乃果ちゃんと海未ちゃんで半分こして食べて」

穂乃果「えーっ? なんで? ちゃんと食べないと元気でないよ?」

ことり「平気だから。ちょっと食欲がないだけで」

海未「・・・・もしかして、気にしています?」

ことり「・・・・・・」

穂乃果「気にするって?」

海未「ことりは歩けませんからエネルギーの消費は少ないです。だからその分、歩く私達に多く食べさせるために」

ことり「・・・う、うん。私は、背負ってもらうしかできない・・・だから、大切な食べ物を減らしちゃいけないと思って」

穂乃果「ええっ? そんなこと気にしないで―――」

海未「いえ、ことりの言う通りですね」

穂乃果「ちょっと海未ちゃん!」

海未「これからどれくらい歩くか分かりません。・・・もしかしたらまた日を跨いでしまうかもしれません。それくらいの覚悟でいないと。だから食料は大変貴重です。食糧の消費を抑えるための手段として、ことりの食べる量を減らすのは正しいことです」

穂乃果「もうっ・・・・・」

海未「ですが、ことり。だからといって何も食べないのはダメです。人は動かなくてもエネルギーを消費するからその分は食べないと。今後の食事では、私と穂乃果より量は減らしますけどとりあえず今は食べてください」

ことり「・・・・うん、分かった。それじゃあ、食べるね? ごめんね、頂きます」モグモグ





134: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 17:18:13.46 ID:bUb565k/0


海未「食事が終わりましたら、準備をしましょう」

穂乃果「準備て?」

海未「まずは歩きやすくするために極力荷物を減らします。生き抜くのに必要最低限の物だけを持っていき、それ以外はここに置いて行きます」

穂乃果「そっか・・・そうだよね・・・。分かった、いらないもの選ぶね」ゴソゴソ


穂乃果「トランプ、スマホの充電器。それとサリーちゃんもだよね・・・。ごめんねサリーちゃん・・・バイバイ・・・」

ことり「シャンプーとリンスと穂乃果ちゃんの成長記録と、ことりのまくらもかな・・・」シュン

海未「ことりはそれが無いと眠れないんでしたよね。ですが、申し訳ありませんが・・・・」

ことり「うん分かってる。ことりは眠れなくてもいいから・・・」


穂乃果「スマホも置いて行った方がいいよね。もう使えないし」

海未「スマホは・・・。いえ、一応持っていきましょう。完全に乾いたらもしかしたらまた使えるかもしれませんし」

海未「必要な物は全て私の登山用ザックに入れます。穂乃果とことりのバックは、申し訳ありませんが不要な物を入れてここに置いていきます」

穂乃果「分かった。もったいないけど、しょうがないよね」

海未「・・・結局山を汚すことになり心苦しいのですが・・・私達が生き抜くためですので許してもらいましょう」



海未「それから穂乃果には私のザックを背負ってもらうので、フィッティングをします。穂乃果、ちょっと今このザック背負ってもらえますか?」

穂乃果「フィッティング?」

海未「ザックを体に合わせるんです。そうすることで、重さを肩だけではなく背中全体に分散できますので」

穂乃果「へー」背負い


海未「まずはヒップベルトを骨盤の上に乗せるようにして固定します」カチン

穂乃果「うっ、ちょ、ちょっと、お腹きついかも~・・・?」

海未「やっぱり太ってましたね。・・・仕方ありませんね少し緩めます」スルッ


海未「次にザックと背中の間に隙間ができないように、フレームを曲げます」グイグイ

海未「最後に肩のハーネスを締め上げて終わりです」キュ


穂乃果「ほ~。なんか普通のリュックより色々複雑だね」

海未「ええ、登山用に特化した専用の物ですから」


海未「次に服装ですが長袖長ズボンを履きましょう。寒いと言うのもありますが、藪を歩く中で肌を出すとダニやヒルが怖いので」

穂乃果「うへぇ・・・。それは怖いなあ・・・。家出るときは暑いから長袖なんて嫌だなー、なんて思ってたけど、海未ちゃんの言う通り持ってきてて良かった」ハキハキ

海未「ズボンの裾は靴下に巻き込んで極力肌を出さないようにしてください。どうしても肌が出てしまう所は定期的にヒルが付いて無い事を目で見て確認します」

穂乃果「はーい」


海未「明るいうちにできるだけ多く移動できるよう、早めに歩き始めた方がいいです。そろそろテントを撤収しますね」










135: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 17:31:06.00 ID:bUb565k/0


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◇ 7月28日 8:00 曇り



海未「長く歩くかもしれないので、ストレッチもしっかりやって・・・そろそろ行きましょうか」

穂乃果「はーい。それじゃ海未ちゃんのザック背負うね。テントとか寝袋とか全部詰めたからすっごい重そう・・・。よいしょ」グッ

穂乃果「おっ? んんっ? 重い、けど、結構いけるかも! 背中に吸い付いているみたいで歩きやすい! これいいねえ!」トコトコ

海未「それは良かったです。ですが、歩きやすいからと言って走ったり跳ねたり無茶な動きはしないでくださいよ。何か危険があってもザックの重さに体が振り回されて急に止まれなくなりますからね」

穂乃果「はーい」


海未「ことりは私の背中に」

ことり「うん、ごめんね」グッ


海未「はいっ。では行きましょう。まずは川まで戻ります。穂乃果が先を歩いてください。その方が一人取り残される心配が少ないので」

穂乃果「おっけー」テクテク



---------------



穂乃果「うわー・・・すっごい急斜面・・・。昨日はよくこんなところ登れたなあ」

海未「無我夢中でしたからね」

穂乃果「そ、それに・・・あの川」



   < ゴゴゴォォォオオーーーー



海未「ええ・・・。茶色く濁った水がうねりながら大きな水しぶきを上げていますね」


穂乃果「すごい濁流・・・。ことりちゃんがこの斜面を見つけてくれなかったら、私達今頃・・・」

海未「・・・・」

ことり「・・・・」

海未「・・・・今こうして無事でいるんです。あまり余計なことは考えないようにしましょう」

穂乃果「う、うん。そうだね」






136: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 17:42:29.48 ID:bUb565k/0


海未(そういえば、なんでここだけが茶色い土が露出していて急斜面になっているのでしょう? 周りは崖なのに。なんか不自然です)

海未「・・・・。はっ。もしかして・・・」

穂乃果「海未ちゃん?」

海未「い、いけません。少し離れましょう」

穂乃果「どうしたの?」

海未「恐らく、この急斜面は崖崩れの跡です」

穂乃果「あっ、言われてみれば・・・」

海未「はい。昨日の激しい雨もありましたし、他の場所も崖崩れするかもしれません。なるべく離れましょう」

海未「崖から離れたら川が見えなくなりますが、音を頼りに付かず離れずの距離で川沿いに歩いていきましょう」






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 ザッ ザッ

穂乃果「はぁっ・・・はぁっ・・・」

海未「はぁ、はぁ・・・・」

海未(道が無い藪歩きというのはやはり辛いですね・・・)

海未(それならまだしも、地面が見えない程に草が生い茂っているから、倒木や木の根に気が付かず、足を取られて倒れそうになること何度か・・・)

海未(普通に歩くより速さは出ないし、かなり体力を持っていかれます・・・)



海未「はぁっ、はっ・・・ほっ・・・ほのかっ」

穂乃果「はっ・・・、な、なーに?」クルッ

海未「ちょっと、休みましょう・・・」

穂乃果「そうっ、だね。ふー・・・休もう・・・」クタッ


海未「水と、お菓子を、少し、頂き、ましょ・・・ふー」クタッ

穂乃果「うんっ・・・」

パクッ ゴクゴク



穂乃果「うへぇ。濡れた草の中を歩いてたから、もうズボンがビッチャビチョ。こういう所歩くんだったらレインコートじゃないとダメだねぇ・・・」

海未「ええ、そうですね・・・。晴れの予報だろうが山に入るなら雨具は必須ですが、ここまで山奥に入る予定は無かったから用意してなくて」

穂乃果「だねぇ・・・」



海未(まだ一時間も歩いていませんが、この先大丈夫でしょうか・・・。歩く速度にしろ、水や食料が無くなるペースもこのままだと、そんなに長距離は進めないでしょう。大分厳しいですねえ・・・)

海未(かといってこれ以上歩く効率を上げる事はできそうにありません・・・。この調子で進むほかないですね)


海未「これからもなるべく小まめに休んで堅実に進んでいきましょう」

穂乃果「うん」










137: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 17:46:25.90 ID:bUb565k/0


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◇ 7月28日 11:00 曇り



海未「はぁっ・・・・」ザッ ザッ


海未(もう結構歩きましたが・・・)

海未(人や車や電車の音、人工物の気配が全く感じられない。運が良く線路の方角に向かって歩けていればもう線路に当たっているはずですが・・・)

海未(これだけ進んで辿りつけないと言うことは、どんどん山奥の方に進んでいる可能性が高いですね・・・)


海未(やはり川沿いに歩くのは判断ミス・・・? どうしましょう・・・今からでも逆方向に歩くべきか・・・)

海未(穂乃果とことりもこのままじゃ辛いでしょうし・・・・)


穂乃果「ふーっ、はーっ、はぁ、はぁ・・・」ザッ ザッ

ことり「・・・・・」アミアミ


海未(穂乃果は・・・・がんばって歩いていますね)

海未(ことりは・・・無言ですが・・・足に痛みを抱えたままですし楽ではないでしょう・・・)

海未(・・・・もしかしたら、私の判断ミスで延々と山奥を彷徨っている事を恨んでいるかも)

海未(・・・いえ、ことりは優しい女性です。人を恨むような事はしません。むしろ優し過ぎるからこそ、昨晩の穂乃果のように、背負われているだけの自分を心の中で責め立てているかも)


ことり「・・・・・」アミアミ


海未(・・・それはいけませんね。気晴らしに、何か明るい話題でも)

海未(ずっと黙っていても気分が落ち込むだけですし・・・何か話しませんと・・・)


ことり「・・・・・」アミアミ


海未「うーむ・・・」

海未(しかし、何を話せば・・・何か話題を・・・んんっ・・・。はぁ・・・疲れて頭が働きません・・・)








138: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 17:49:42.44 ID:bUb565k/0


ことり「・・・でーきたっ♪」

海未「・・・んっ、はい?」

穂乃果「えー? なにがー?」クルッ

穂乃果「―――わあ! かわいい!」

海未「へ?」キョトン


ことり「えへへー」

穂乃果「その海未ちゃん久しぶりだなあ。スクフェス動物編2以来?」

ことり「そうそう、かわいいでしょー♪」

穂乃果「うんうん!」

海未「あ、あの、一体何の話を・・・?」

穂乃果「何って、その髪だよ」

海未「髪?」

ことり「やっぱり海未ちゃん気が付いてなかった」

海未「え?」

ことり「夢中になって歩き過ぎだよー。ほら、これ」ファサ

海未「こ、これは・・・・三つ編み?」

ことり「うんうん♪」

穂乃果「ザ・優等生! って感じ。メガネかけたら委員長になれるよ!」

海未「は、はあ・・・。さっきからずっと編んでいたんですか?」

ことり「うん♪」

海未「もうっ・・・・。私の髪で遊ばないでくださいよ」

ことり「えー・・・」

海未「うっ」

ことり「もっと色んな海未ちゃんがみたいのー。おねがぁい」耳元で脳トロボイス

海未「あふぇっ・・・・・・・わ、分かりました・・・ご自由に・・・」

ことり「わぁい♪ 次はどうしようかなあ♪」

穂乃果「にこちゃんの帽子みたいなやつやってみてよ!」

ことり「ああ! あのピンク色の変装用の帽子だよね。やってみる!」

海未「は、はぁ・・・・」


海未(でも・・・・・)

海未(ふふっ。なんだ、気分が落ち込んでいたのは私だけでしたね)

海未(ことりはこんなにも可愛らしい外見だから忘れがちですが、ことりはとても芯の強い女性です。ちょっとやそっとの事じゃ自分を見失ったりしないんです)

海未(私はそんなことりに、今まで何度も助けられました。こんな状況だからこそ、ことりに傍にいてもらうことがとても心強いです)










139: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 19:51:58.42 ID:bUb565k/0


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◇ 7月28日 16:00 薄曇り



穂乃果「はぁ、ふぅ・・・・あっ、見て海未ちゃん。川が見えてきたよ」

海未「ああ、本当ですね。少し下り坂になった先に川が。崖が無い地形まで歩いてきたのですね」

穂乃果「綺麗な川だよ。朝見た時みたいに茶色く濁ってないや」

海未「ええ、そうですね。泥が流れきったか、あるいはいつの間にか別の川沿いに歩いていたのかも」

穂乃果「近くで見てみよっと」テクテク




                ザザーッ >




穂乃果「んっ? 何の音だろ。あっちの方からだ」テクテク


  ザザーッ


穂乃果「うわっ。わー・・・・」



海未「穂乃果―っ? どうしましたー?」

穂乃果「こっち滝になってるー!!」

海未「えっ?! 滝?!」テクテク


ザザーッ


海未「本当だ、滝ですね・・・・。先がよく見え無いですが、この音の大きさからして高さは10メートル近くはありそうです・・・」

穂乃果「滝の両側は崖になってるっぽいね・・・」

海未「ええ、これを降りるのは無理です・・・」

穂乃果「どうしよ・・・」


海未(やはり川沿いに歩くのは間違っていました・・・。もう何時間も歩いてこんなことになるなんて・・・)

海未(先には進めない。では引き返す・・・?)

海未(食糧は持つでしょうか・・・? ここまで来るのに食料は半分程食べてしまったんですよね・・・。大切に少しずつ食べなければと頭では分かっていても、食べないと頭がクラクラしてきて、脚も動かなくなってしまって・・・)

海未(仮に戻って今度は川の上流に向かって歩いたとしても、山を抜けられるとは限りませんし・・・)

海未(なにより、川の下流に向かって歩くなら下り坂ですが、それを戻ると言う事はここまで歩いてきた長い距離を今度は登るという訳で・・・・・)

海未(そんなの無理ですっ!)

海未(では、何とかしてこの崖を降りるしかない・・・・・?)


海未(・・・いえ、それ以前に、進むにしろ戻るにしろ―――)






142: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 19:59:31.72 ID:bUb565k/0



海未「はぁっ・・・はぁっ・・・」ガクガク

穂乃果「はぁ・・・ふぅっ・・・・」フラフラ


海未(もう動けませんね・・・)

海未(ずっとことりを背負って道なき道を歩いていたから、膝がかなり辛い・・・。穂乃果も、藪の大きな草をかき分けながら先頭を進んでいたから相当疲れているように見えます・・・)



海未「はぁ、はぁ・・・穂乃果、ことり。今日はここで休みましょう」

穂乃果「はぁ、はぁ・・・・うん、そうだね・・・。まだ明るいけど、これ以上歩くのは厳しいかも・・・」

海未「私もです。川から少し離れた所まで行って、そこでテントを張りましょう」テクテク


クゥ~

ことり「あっ/// ご、ごめんなさい、なんもしてないことりが・・・」シュン

穂乃果「ううん、穂乃果もお腹減ってるよ。でも、今日はもう歩かないなら残ってるお菓子は食べない方がいいよね~・・・・」

海未「そうですね・・・」



海未「ことり、ここで一旦降ろしますね」

ことり「うん、ありがとう」

穂乃果「あっ、待って降ろさないで」

海未「はい?」

穂乃果「ちょっと待っててね~」トコトコ

ことうみ「?」キョトン


穂乃果「いっぱいあるなー。どれがいいかなー」キョロキョロ






146: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 21:49:58.34 ID:bUb565k/0

147: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/26(木) 21:54:52.95 ID:bUb565k/0



穂乃果「これが大きくていいかな」ブチッ

海未「それはフキの葉ですね」

ことり「丸くておっきい葉っぱだね。それどうするの?」

穂乃果「これを地面に敷いて」パサッ


穂乃果「コホンッ.... さあ、お召し物が汚れぬよう、ここにお掛け下さい、ことり姫」ペコッ

ことり「んんっ?!// ひ、ひめて・・・///」

海未「ああ、なるほど。ふふっ、ええそうですね、ご遠慮はなさらずにどうぞお掛け下さい、ことり姫」

ことり「っ~/// よ、よきにはからえ~//」ストン


海未「フキの葉をハンカチ代わりとは面白い発想ですね。・・・―――あっそうだ。フキですよ」

穂乃果「?」

海未「フキは茎の部分が食べられるんです」

穂乃果「えっ、ほんとっ?! あちこちにたっくさん生えてるけど、あれ全部食べられるんだ!」

海未「ええ。ですが、糖分とカロリーはほとんどないヘルシー食材なので、エネルギーにはならないですが」

穂乃果「ヘルシー! ダイエットにちょうどいいじゃん!! たくさん獲ってお腹一杯食べても太らない!」

海未「こういうときにダイエットというのもおかしいですが・・・まあ、いいです。でも、フキだけというのも寂しいので、どうせなら他にも食べられる野草が無いか探してみましょう。少しでも食糧を増やしたいですからね」

穂乃果「いいね! 探そう!」

海未「先にテントを立てます。ことりは中で横になって休んでください」

ことり「うん。私ばっかり楽してごめんね」

穂乃果「気にしないで! 一杯収穫してくるから楽しみにしてて!」

ことり「うんっ♪」





152: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 01:47:14.14 ID:SJmQbfnb0



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ほのうみ野草探し中



海未「ほら、早速見つけましたよ。オオバコです。摘んでいきましょう」



http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira127150.jpg





153: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 01:49:01.74 ID:SJmQbfnb0



穂乃果「ええっ・・・そんな雑草みたいなの食べるのぉ・・・?」

海未「そんな嫌そうな顔しないでください。雑草ではなく野草ですから」

穂乃果「ふ~ん。嫌そうなら野草で癒そう! な~んちゃって! ぷくくw」

海未「見てください。こっちにはノビルがあります。細長い茎が特徴で、根っこは地面の深い所まで伸びていて、その根の先には鱗茎(りんけい)という球根の様な物があり、それが食べられるんですよ」


http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira127151.jpg





154: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 01:50:57.12 ID:SJmQbfnb0


海未「石を使って掘り出しましょう。手伝ってください」ザクザク

穂乃果「う、うん分かった。ここ掘るワンワン」ザクザク



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海未「やっと出てきました。一番底にあったこの白い部分が食べられます」

穂乃果「本当に深かったよ・・・大変だった~。・・・でもさ、ちょっと思ったんだけどさ。こんなちっこいのを食べて得られるエネルギーより、掘り返して消費するエネルギーの方が多くない?」

海未「さあ、他にも食べられる野草を探しましょう。自然の恵みを味わうのですっ」ウキウキ

穂乃果「ちょ、ちょっと~、うみちゃーん・・・? エネルギーを得るより、野草の味を楽しむのが目的になってな~い・・?」

海未「あははそんなことないですよー」テクテク

穂乃果「もうっ・・・。それにしてなー。野草って言われても穂乃果にはどれも同じような草にしか見えないよ~・・・・」キョロキョロ

穂乃果「・・・あっ」 ピタッ

穂乃果「ああっ! あの木! 海未ちゃん見て見て! なんかおいしそうな実がたくさん生ってるよ! 木イチゴかなっ?」





155: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 01:52:43.02 ID:SJmQbfnb0

156: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 01:58:01.26 ID:SJmQbfnb0



海未「おやっ、これは嬉しいですね。ヤマグワですよ。イチゴではなくクワの仲間です。この果実は糖分があってハッキリと甘味を感じられておいしいはずです」

穂乃果「甘いの?! やったあ! ちょっと一個食べてみよ!! あーn」

海未「あっ! ダメです! 食べないでください!!」

穂乃果「へっ? なんで? おいしいんでしょこれ?」

海未「そうですが生で食べてはダメです。危険な寄生虫を持った野生動物やその動物の糞尿がこの実に触れている可能性があります。他にも蛾の幼虫もこういう実を食べますので、その際に幼虫の毒の毛が付着してしまっているかもしれません」

穂乃果「うそっ、怖っ・・・。小さい頃はしょっちゅうそこら辺の草イチゴ食べていた気がするけど、危なかったんだなあ・・・。じゃ、じゃあ、これも食べない方がいいの・・・?」

海未「いえ。水で洗い、飯盒を使って十分煮れば問題なく食べられますよ。貴重な糖分ですから、このヤマグワはできるだけたくさん獲って頂きましょう」

穂乃果「ホント!? やったやった! 収穫だー!!」ヒョイヒョイ

サワッ ツルッ ポトッ

穂乃果「おっと、触っただけで落ちちゃった。簡単に取れるようになってるんだな―――・・・・ああっ?! 海未ちゃん海未ちゃん!」

海未「今度はどうしました?」

穂乃果「地面見て! 地面! 草イチゴがたくさんある!」





157: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 01:58:50.03 ID:SJmQbfnb0

158: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 02:05:26.22 ID:SJmQbfnb0


海未「ヘビイチゴですよ。時計台の花壇にも植えられていましたね」

穂乃果「イチゴ! これも一緒に獲って食べよう!」ヒョイヒョイ

海未「え、ええ、まあ、構いませんが。ヘビイチゴって毒ではないですけど、あんまり味しないですよ」

穂乃果「なんでもいい! イチゴなら!!」ヒョイヒョイ



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穂乃果「おーい。こっとりちゃーん。たっだいまー」

ことり「ほのかちゃんっ、海未ちゃん。おかえりー。どうだったー?」

穂乃果「イチゴたくさん獲ってきたよ!」

ことり「イチゴっ! すごーい」

海未「野草もいくつか獲ってきましたよ。川の水で洗ってきますね」

穂乃果「川の水で洗うんだ。あの川は濁ってなくて綺麗だもんね。あっ、ということはあの川の水は飲める?」

海未「ええ、沸かせば飲めるでしょう。今までペットボトルの水を大事にちょっとずつ飲んでいましたが、その必要はもうありませんね」

穂乃果「おおっ! 喉乾いてたんだー。水もたくさん飲みたい!」



---------------



海未「洗ったヤマグワとヘビイチゴを飯盒に入れて、水も少し入れます。他の野草は明日の朝に食べるようにしますね」

海未「携帯コンロとガスボンベ(>>0�をセットして、飯盒を置いて、火を起こします」カチッ シュ ボッ

  ※ ガスボンベは危険物なのでフェリーや電車等の公共の乗り物には持ち込めない場合があります


穂乃果「キャンプっぽいねえ」

海未「これがあってよかったです。昨日の雨で濡れた薪や落ち葉で火を起こすのはまず無理でしょうから」



グツグツ

海未「これだけ加熱すれば大丈夫でしょう」パカッ

穂乃果「こ、これは・・・・!」

ことり「わあ! 甘くていい匂い!」

穂乃果「食べていいよね?!」ジュルリ

海未「ええ。熱くなっていますから気を付けてくださいね」

穂乃果「いただきまーす!」パクッ

穂乃果「あつっ、んっ、ふーっ、ふーっ、もぐっ。・・・んん! おいしい!」

ことり「ングング、うんっ! 見た目はブドウみたいって思ったけど、味はブドウやイチゴとはまた違うね。柿に近いかなあ? どこか懐かしい素朴な甘さ」

海未「ええ、これはおいしいです」モグモグ










159: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 03:12:19.19 ID:SJmQbfnb0


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日が暮れて、テントの中へ



穂乃果「ヤマグワおいしかったねー。でも、まだ食べ足りないかなー」

穂乃果「いつも何気なくお腹いっぱいになるまでご飯やお菓子を食べていたけど、こういう状況になると、お腹いっぱい食べる事ってすごく恵まれていたんだなーって思うねぇ」シミジミ

海未「申し訳ありません・・・。私の判断ミスで更に山奥に迷い込んで、まさかまた本当にテントで夜明かしすることなってしまうとは・・・。本当なら今頃、旭川の温泉でリラックスしてジンギスカンを食べているはずでしたのに・・・」

穂乃果「あっ、ち、違うよっ! そんな意味で言ったんじゃないの。気にしないで」

海未「いえ、それだけじゃないです・・・。あんなに苦労してここまで歩いてきたのに、目の前は滝でこれ以上は進めない・・・。無駄足を踏ませ、食糧も少なくなって・・・本当にすみません・・・・・。私にもっとちゃんとしたサバイバルの知識があれば・・・」

穂乃果「海未ちゃん・・・・」

海未「・・・・・」シュン





ことり「私はここまで来たこと、無駄だとは思わないよ」


海未「ことり・・・?」

ことり「サバイバルの事はよく分からないけど、大事なのはそこじゃないんじゃないかな」

海未「・・・?」

ことり「私は今までずっと、海未ちゃんと穂乃果ちゃんの後に付いて生きてきた。それは楽しい事ばかりじゃなくて、時には道に迷ったり、つまずいたり、危険な事もあって辛い思いもしたけど、その全部を乗り越えてきた。乗り越える度に大切な経験になって、それを糧にして成長した今の私がいる」

ことり「ここまで成長してきた自分の過去を振り返っても、海未ちゃんと穂乃果ちゃんと一緒の経験で無駄で間違ったことなんて一つも無いよ」

ことり「だから、海未ちゃんが今思っている、無駄足だったとか、判断を間違ったとか、危険だって思っていることは、今までと同じようにこの三人なら絶対に乗り越えられし、そして乗り越えた時にきっと、未来を切り開くための大事な経験の一つになると思う。それってとても素晴らしい事じゃない?」

海未「ことり・・・」ジーン

ことり「ふふっ」ニコッ

穂乃果「そうだよ海未ちゃん! だからそんなに落ち込まないで! 穂乃果が もぎゅ! ってしてあげるから元気出して!」モギュ

海未「んっ/// はい、ありがとうございます」

穂乃果「それに今日たくさん歩いたのは本当に無駄じゃなかったよ。だって現に穂乃果、今日だけで5kgくらいは痩せたもん!」

海未「はぁ、そうですか。遭難したときに備えてかどうかは知りませんが、穂乃果は “ こ こ に ” 常日頃からコツコツとエネルギーを蓄えていましたものねっ。全く殊勝な心がけですっ」フニッフニッ

穂乃果「んひゃ?! ちょ、ちょっと!/// くすぐった・・・・ あひっ/// お腹触っちゃやーっ!」

海未「これはマッサージです。今日の疲れを明日に残さないために」フニフニュ

ことり「あははっ♪」










160: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 03:20:06.73 ID:SJmQbfnb0


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◇ 7月29日 7:00 朝曇り



 < チチチチチ
 < チュン チュン


海未「・・・んっ」パチ

海未(・・・鳥の鳴き声。朝ですね)


穂乃果「くー・・・」zzz

ことり「すー・・・」zzz


海未「んーっ」ノビー

海未「・・・・・・・」


海未(ちょっと外を歩きますか)ムクッ

 ....ピシッ

海未「・・・くっ」クラッ

海未(・・・昨日は頻繁に休みを入れながらでしたが、それでも人一人背負って山を歩いたのはさすがにかなり体に負担をかけてしまったようですね)

海未(でもまだまだです。大切な人を守るために私は今まで鍛錬を積んできました。この程度なんともありません!)


海未(さて・・・戻るか進むか、判断しないと。もう一度滝の所をよく見て降りられるかどうか確認しましょう)テクテク




 ~滝の近く~




ザーッ

海未「・・・・・」ジーッ

海未「・・・・・ふむ」


 < うみちゃーんっ?


海未「・・・・んっ、穂乃果?」クルッ

穂乃果「海未ちゃん起きてたんだね。おはよ」

海未「おはようございます。体は大丈夫ですか?」

穂乃果「うーん・・・力使いすぎて今でも足がフラフラするかなー・・・。でもまだ頑張るしかないよね」





161: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 03:23:05.12 ID:SJmQbfnb0



穂乃果「海未ちゃんは今何してたの?」

海未「はい。この滝の下に行けるかどうか思案していました」

穂乃果「そうなんだ。・・・うーん」チラッ

穂乃果「ここを降りるのは無理なんじゃないかなあ。だって崖のふもとが見えないから、多分ネズミ返しみたいな形の崖だよこれ・・・」

海未「ええ。ロッククライミングで使うような道具が無いと降りられないでしょうね。ですがあっちの方を見て下さい」

穂乃果「あっち? んー・・・? 大きな岩がいっぱいあるね」

海未「あの岩を足掛かりにすれば降りられそうです」

穂乃果「う、うーん・・・。でも、危なくない?」

海未「はい・・・。ですが、多少のリスクを負ってもここは進むべきかと。戻るのも一つの手ですが、残りの食糧や体力を考えたらそっちの方がリスクが高いと思いますので」

穂乃果「そっかあ・・・」

海未「とりあえず朝食にしましょう」

穂乃果「・・・! ごはん!」



---------------
テントの近く



穂乃果「何を食べるの? お菓子?」

海未「いえ。水が十分に得られるようになったので、角切りの乾燥餅を昨日獲って来た野草と一緒に味噌で煮込んで食べようと思います」

穂乃果「お餅!」

ことり「おもち!」


海未「まずはフキの下処理をします。ナイフで切って飯盒に入れて、熱湯で数分煮込んでアクを抜きます」

グツグツ


海未「煮込んだら取り出して、冷水に浸した後、皮を剥きます」ツツーッ

海未「飯盒の水を入れ替え、もう一度水を沸かし、下処理の終わったフキとオオバコとノビルの鱗茎と乾燥ワカメと角切りの乾燥餅と即席味噌を入れ、後はしばらく煮込んで完成です」





162: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 03:25:55.74 ID:SJmQbfnb0



グツグツ

海未「こんなもんですかね。煮すぎると餅が溶けてなくなってしまうんですよ。蓋を開けます」パカッ

穂乃果「おおおっ! 良い匂い! これはおいしそー!」

海未「まずは私が味見を」ズズッ

海未「んっ、これはなかなか。さ、二人ともどうぞ。飯盒は熱くなっていますので気を付けて」

ことほの「「いただきまーす! ぱくっ」」モチャモチャ モグモグ

穂乃果「おいしー!」

ことり「うん! ノビルはニンニクみたいな形してるけど、ちょっと苦みがあるだけで匂いは強くないし、食感はシャキシャキしてて玉ねぎみたいでおいしい!」モグモグ

海未「フキもおいしいですよ。素朴な香りと自己主張しないさっぱりした味わいが、味噌に良く合っています」モグモグ

穂乃果「そしてなによりこの味噌と一緒に頂くお餅! 野草の香りがプラスされてホントにおいしいよーっ! これが北海道に来て一番のおいしいかも!」モグモグ










163: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:28:14.68 ID:SJmQbfnb0


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食事後、テントを撤収し、再び滝の上へ



ザーッ


穂乃果「いよいよこの岩場を降りるんだね・・・」ゴクリ

海未「ええ、行きます。穂乃果、先程教えた通りゆっくり慎重に降りてくださいよ・・・!」 ...ジリッ

穂乃果「う、うん! 手と足、三本以上が常に岩に付いているようにして・・・!」 ...ジリッ

海未「手足を付ける場所は必ず事前に目視で確認すること! 傾きが少ない、落ち葉や苔がない、濡れていない部分を時間を掛けてでも正確に選んぶんです・・・!」 ...ジリッ

海未「ことりもしっかり掴まってください! 体が揺れるとバランスを崩しますから!」

ことり「うんっ・・・!」ギュウ


  ...ジリッ

   ...ジリッ







164: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:29:11.62 ID:SJmQbfnb0


---------------



ザーッ


穂乃果「はっ、ふーっ・・・。なんとか下の方まで降りたけど、ここは・・・」ポー

海未「ええ・・・・」ポー

ことり「わぁ・・・・」ポー






165: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:30:12.43 ID:SJmQbfnb0

166: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:36:48.29 ID:SJmQbfnb0



海未「滝、池、渓谷。人が踏み入れる事の無い山奥、崖と森林に囲まれたその先の秘境・・・と言った所でしょうか。言葉にならない程の美しい・・・自然の造形です・・・」

穂乃果「すごく空気がいい。冷えてて柔らかくて、こうやって深呼吸すると・・・――― すーっ、はーっ ――― ふーっ・・・心と体が中からきもちー」

ことり「滝の音は迫力があって、だけどそれは耳に心地良くって・・・。それと滝の下はエメラルドグリーンの池。とっても綺麗・・・」

穂乃果「うん、本当に綺麗。それに結構深いね。ここで泳いだら気持ちがいいだろうなあ」

海未「ええ・・・三人共万全な体調でかつ十分な装備がある状態でここに来られなかったのが悔やまれます」

穂乃果「うん、でも見ているだけでも十分感動だよ。こんなに綺麗な場所、今までの人生で一番かも。本当にすごいや」

ことり「本当。見ているだけで不思議な気分になってくる」

海未「・・・ここにいることで、―――精神が研ぎ澄まされ心身が自然に溶け・・・自然と一体化していくような―――自分が崇高な存在に昇華していくような―――そんな気持ちにさせてくれます」


海未「偶然とはいえここに辿りつけたことは、何にも代えがたい貴重な経験になりそうです。思わず遭難していることを忘れてしまいそうです」

穂乃果「昨日一日重い荷物を背負って山を歩いて、体がフラフラになる程疲れて・・・だけど、それだけの苦労をした甲斐があったねぇ」

海未「ええ。あ、いえ、ここに来るのが目的ではないんですけど・・・」


海未「しかし、良い事ばかりではないようです」

穂乃果「どういうこと?」

海未「この先の川を見てください。ここから先は進めません・・・」

穂乃果「えっ、うわぁ、ホントだ・・・。川の両側が断崖絶壁・・・・」

海未「その通りです。はぁ・・・せっかく危険を冒してでもここまで降りてきたと言うのに・・・・。何故私の判断は、こう次々と裏目に出るのでしょう・・・」ガックリ

穂乃果「ま、まあまあっ。きっと他にも進む方法はあるよ。えーっと・・・」キョロキョロ

穂乃果「あっ、ほらっ。あっちはどうかな? 今度はあっちの岩を登って行けば崖の上に行けるんじゃないかな? 上まで行ければまた進めるよ! そうしよう! 少しここで休んでから行こっ、ねっ?」

海未「・・・はい、そうですね。すみません」










167: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:39:01.94 ID:SJmQbfnb0


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崖の上



海未「はぁっ、んっ・・・・はぁ、はぁ」 ....ジリッ

穂乃果「海未ちゃん、あと一歩だよ。はいっ、穂乃果の手を取って」スッ

海未「はぁっ、は、はい、ありがとうござます」

グイッ

海未「はーっ・・・・。時間はかかりましたがなんとか登れました」

ことり「重かったよね・・・ごめんね、ことりを背負って崖登りなんてさせちゃって・・・」

海未「なんのこれしき、お父様の鍛錬に比べればなんともありません」

穂乃果「海未ちゃんの体力は底なしだねー・・・」

海未「少し休んで、それからまた進みましょう」

穂乃果「うん、休もう。ほら、ここから見える景色もすごいよ。あっちの方は木が開けてて遠くの方まで見えるの」







168: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:40:05.75 ID:SJmQbfnb0

169: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:49:24.85 ID:SJmQbfnb0


ことり「すごーい。雲の上にいるみたい」

海未「おおっ、雲海ですね。これは素晴らしい眺めです。まるで山水画でも見ているかのような」

穂乃果「海未ちゃんが登山が好きな理由。少し分かった気がするよ」

海未「ふふっ、そうですか」


海未(確かに、苦労の末このような良い景色に巡り合えたのは嬉しいです。・・・しかし、あまり喜んでいられません)

海未(こうして見晴らしがいい所に出られて遠くを確認できたのはいいですが、その結果、この先にも人里の気配が無いということが分かりました)

海未(それに、思った以上に標高が高い。このまま進んだら今度こそどうやっても越えられない地形にあたってしまう可能性が高い・・・)

海未(んんっ・・・。やはり無理をしてでも川の上流へ戻るのが正解だった・・・? 今からでも戻って・・・いえっ、この岩場をことりを背負って再度降りて登るのは非常に危険です。今こうやって無事に崖の上に来られただけでもかなり運が良かったのに)

海未(・・・・もう戻ることができない所まで進んでしまいました。絶望に囚われず、この先に難所が無いよう祈りつつ、更に進むしかありませんね)






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◇ 7月29日 11:00 薄曇り



穂乃果「はぁ、はぁっ・・・なんか結構暑くなって来たね・・・さっきまではどっちかって言うと寒い方だったけど・・・」 ザッ ザッ

海未「はぁっ、え、ええ・・・ずっと歩いていますからね」ザッ ザッ

穂乃果「暑い・・・上着一枚脱ぐから少し待ってて」

海未「はい、いいですよ」

穂乃果「ふーっ」ヌギヌギ

ことり「海未ちゃんも汗すごい。拭いてあげるね」フキフキ

海未「はい、ありがとうございます」







         ....ガサガサ







170: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:52:20.66 ID:SJmQbfnb0



穂乃果「・・・? なんか音がしたような」チラッ


   ガサッ


穂乃果「・・・あっ、ヘビだ」

 ヘビ「!」ビクッ

海未「え? どこです?」

穂乃果「ほら、あそこの木の根本」

海未「えーっと、どこですかね・・・?」ジーッ

 ヘビ「ヤベー ニゲヨ」ニョロニョロ ガサゴソ

海未「あ、いました。青緑色で目立たないから、動かなければ分からなかったです」

 ヘビ「マジカヨ ジット シトケバヨカッタ」ニョロニョロ

穂乃果「うわわぁ・・・怖い・・・こっち来ないでぇぇ~・・・」ヒヤヒヤ

 ヘビ「サイナラ」ニョロニョロ

海未「あ、逃げていきますね」

穂乃果「ほっ・・・よかった」

ことり「ばいばい、ヘビさん」


海未「ヘビ・・・か」

海未「・・・・っ!!」

穂乃果「海未ちゃん?」

海未「穂乃果! そのヘビを捕まえてください!」

 ヘビ「ッ?!」

穂乃果「ええええっ?! どうしてっ!!?」

海未「後で説明しますから、早く捕まえてください! 私はことりを背負って手が塞がっていますから!」

穂乃果「そんなこと言ったって、怖いよぉぉ・・・」

海未「早くっ! 穂乃果!」

穂乃果「う、ううぅ。分かったよお~・・・」タッ

 ヘビ「チョ コッチクンナ」

穂乃果「ひえ~・・・怖いぃぃ」ビクビク

海未「なにをもたついているんですか! 早く!」

穂乃果「だって~・・・。この子噛まない? 毒持ってない? どうやって捕まえるのぉー?」ビクビク

海未「そのヘビは多分アオダイショウです! 毒は持ってません! 噛むかもしれませんが、頭の辺りを上から押さえつけて掴んでください!」

穂乃果「ううぅ・・・・。えいっ」ガバッ

 ヘビ「グェ」

穂乃果「捕まえたよ~・・・・・うええ、ツルツルでプニプニして何か変な感触」

穂乃果「・・・・・・でも」ズイ

 ヘビ「ハナシテー」ジタバタ

穂乃果「・・・・近くで見ると、かわいい・・・かも?」

 ヘビ「ハナセッ コンニャロ 屁コイタル」プーッ





171: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:57:53.74 ID:SJmQbfnb0


海未「やりましたね穂乃果!」

穂乃果「うん。この子どうするの? ちょっとかわいいけど」

海未「食べます」

穂乃果「・・・・へ?」

海未「食べます」

穂乃果「・・・・・」

ことり「・・・・・」

 ヘビ「ヒョエー」

海未「ビニール袋に入れて持っていきましょう。生かしておいたが方が鮮度が落ちませんので」ゴソゴソ

穂乃果「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや」

海未「? なにか?」

穂乃果「落ち着こう。一旦落ち着こう海未ちゃん。一体どこからヘビを食べようなんていう発想が出てくるの?」

海未「ヘビは食べられるんですよ。希が言ってました。小骨がちょっと多いけど鶏肉みたいでおいしいそうですよ」

穂乃果「希ちゃん、なんてことを・・・」

ことり「ヘビさんかわいそう・・・」

穂乃果「そうだよ! こんなにかわいい子を食べちゃうなんてできないよ!」

海未「何故です? 豚や牛もかわいいですが、私達はスーパーで売られている豚肉や牛肉を普通に食べますよね? それと何か違いますか?」

穂乃果「そ、それは、そうかもしれないけど・・・・」

海未「貴重なタンパク源なのです。私達が生き抜くための血となり肉となって頂くこのヘビに感謝の気持ちを持ちながら、おいしく頂きましょう」

穂乃果「うう。分かったけど・・・分かったけど、海未ちゃん」

海未「分かって頂けましたか」

穂乃果「でもね。この子は食べられないよ。だって」

海未「だって?」

穂乃果「牛や豚は確かに私達が普段頂く動物だよ。それがスーパーで売られている豚肉や牛肉になるまでには、ある過程を通過しているんだよ。私達にはその過程はできないでしょ?」

海未「確かに、私には経験がありませんね。でもなんとかなりますよ」

穂乃果「・・・・なんとかって?」

海未「ヘビの捌き方も希から教わっています。簡単な話、魚と同じようなもんですよ。皮を剥いで、内臓を取り出して、串に刺し、火であぶり―――」

ことり「わぉ」

穂乃果「待った! 待って! 海未ちゃん!」

海未「どうしました?」キョトン

穂乃果「分かったから! 百歩譲ってヘビの調理はできるとしよう!」

海未「ええ」

穂乃果「だけどね? あの・・・この子、本当に毒持ってないの?」

海未「毒があるマムシだったら、もっと茶色や赤色っぽい色だったり、横縞の模様があったりするはずです。でもこのヘビは全体的に青っぽくてぼんやりとした縦縞の模様じゃないですか。これはアオダイショウの特徴ですから、毒は無いですよ。多分」

穂乃果「た、多分? 多分ってなにさぁ・・・?」

海未「私もあまりヘビに詳しくないので確信はありません。まあ仮に毒を持っているヘビでも大丈夫ですよ。ほとんどのヘビは頭に毒があります。だから、首から上を切り落としてしまえば毒があろうがなかろうが関係ありません。あっ、ちなみに切り落とした頭は他の人が触らないよう地中に埋めないとダメなんですよ」

穂乃果「わいるどぉ・・・」

ことり「ヘビさん、いただきます」人

海未「ただ・・・それで思い出しましたが、毒蛇のマムシも北海道にいるはずなんですよね。もしかしたらこうして歩いていたらいずれ遭遇してしまうかもしれません」

穂乃果「毒蛇ホントにいるんだぁ・・・怖い・・・」ビクビク

海未「肌を出さないで歩いていれば大丈夫だとは思いますが・・・とにかく気を付けて歩きましょう」






172: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 04:59:41.57 ID:SJmQbfnb0


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◇ 7月29日 13:00 薄曇り 



穂乃果「あっ! 海未ちゃん川が見えてきたよ!」

海未「川?」

穂乃果「ほらっあそこ。この坂の下の方」

海未「ああ、ありますね。やっと川を視認できる所まで来られました。・・・あれっ? 今まで見てきた川に比べたら随分と小さいような」

穂乃果「さっき渓谷で見た川とは違うのかな?」

海未「多分。それか途中で分かれて小さくなったか。いずれにせよ水の補給がしたいのであそこまで行きたいですね」

穂乃果「行こうよ。結構急な坂だけど、こうやって木から木へ飛び移るよう降りていけば」トンッ

海未「ちょ、ちょっと大丈夫ですか? 三点支持でゆっくり降りて行った方が」

穂乃果「大丈夫だっ―――うぐっ?!」ズンッ

ツルッ

穂乃果「うわっ?! うわぁあああ?!」

ズザザザザザザザザザザザザザァッ


海未「穂乃果!?」

ことり「穂乃果ちゃん!!!?」


穂乃果「うわっ、おわっ!?」ズザッ ゴロッ

穂乃果「んげっ」ドサッ


海未「穂乃果?! 大丈夫ですかーっ!?」


穂乃果「イテテ・・・・。う、うん。だいじょうぶー!」

海未「今そちらに行きますからーっ!」

海未「ことり、しっかり掴まっててください!」ザッ

ことり「うんっ!」ギュ







173: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:07:23.04 ID:SJmQbfnb0


---------------



海未「穂乃果!」

穂乃果「あはは、落ちちゃった」

海未「ケガは?!」

穂乃果「大丈夫。草の上を滑り台みたいに滑り落ちただけだから、どこも打ってないよ」

ことり「よかったぁ・・・」

穂乃果「でも滑り落ちているときに海未ちゃんのザックにいっぱい土が付いちゃった・・・」

海未「ザックなんてどうでもいいです。びっくりしますから気を付けてくださいよ本当に!」

穂乃果「う、うん・・・ごめんね。下の方の木に向かって移動しようとしたらザックが重たくてそれに体が持ってかれて・・・。それに脚に思った以上に力が入らなかったものだから・・・」

海未「だから重たい荷物を背負っている時は無理な動きをしないでと言ったのに・・・」

穂乃果「えへへ・・・」

海未「とにかく無事で良かったです。脚に力が入らなかったのは疲れているからでしょうし、少し休憩しましょう」

穂乃果「うん。なんだかんだでも川まで降りられたしね」

海未「ええ。・・・この川、近くで見ると本当に小さいですね。水深もほんの数cmしかありませんし」

穂乃果「でも流れている水はすごく綺麗だよ。透き通ってる。飲めるよね? 喉乾いてて」

海未「沸かせば大丈夫だと思います。コンロを用意しますね」ゴソゴソ

穂乃果「こんだけ自然に囲まれた中の綺麗な川の水。さぞやおいしい水なんだろうなー」ワクワク


ことり「自然の緑に囲まれた小さい川・・・。ちょっと落ち着いて辺りを見回してみると、ここはなんだか幻想的な雰囲気だね」

海未「確かに、鬱蒼と生い茂った草木の隙間から空の光が差し込んでいて美しいですね。妖精でも出てきそうです、ふふっ」

ことり「海未ちゃんロマンチック♪」







174: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:08:52.95 ID:SJmQbfnb0

175: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:10:00.06 ID:SJmQbfnb0



穂乃果「ちょっと汗流そっと」パシャ

穂乃果「んーっ! 冷たくてきもちー!」

穂乃果「もう一回。・・・おっ?」

穂乃果「ねえねえ海未ちゃん! 川の中州にキノコが生えてるよ」

海未「あら、本当ですね。見た目白くて小さくて、可愛いキノコですね」



http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira127162.jpg







176: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:14:43.26 ID:SJmQbfnb0


穂乃果「食べられる?」

海未「とんでもないっ! キノコは絶対に食べてはいけません!」

穂乃果「そっかぁ。毒キノコかもしれないしね」

海未「その通り。専門知識があって安全なキノコだと確証があるのなら別です。ですが、素人判断でキノコを獲って食べるのは非常に危険です」

海未「毒キノコの中には腹痛、下痢、おう吐、けいれん、幻覚を引き起こす物もあります。この状況でそんな体調になったら・・・・」

穂乃果「キノコって怖い・・・。食べ物ももうあんまり残ってないから、生き残るためにちょっとでも食べ物を増やせたらなぁって思ったんだけど、ダメかぁ。キノコで生き残る事はできないね。 “キノコ” だけにねっ、ぷくくww」

ことり「ひっくち」

海未「すみません・・・私にちゃんとしたキノコの知識があれば、食糧を増やせたかもしれないのに」

穂乃果「あっ、えと、うん。しょうがないよ、私達普通の女子高生なんだから、キノコの専門知識なんて持ってなくて当然だようん」

海未「はい」


グツグツ

海未「水が沸きました。暑い中お湯を飲んだら更に暑くなりそうですが、我慢して飲みましょう」

穂乃果「いただきまーす。ふーっ、ふーっ、ゴクッ...んっ、おいしいっ」

ことり「ゴクッ...うん、売られているミネラルウォーターみたいな感じかなって予想してたけど、ちょっと違うね。舌触りがちょっとぬるってしてて、土の匂いも少しするけど、塩素とかの薬の臭みは全くないから、まさに自然にある水って感じ。飲みやすくていいね」

海未「ええ、これが本当の天然水です」






177: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:20:25.64 ID:SJmQbfnb0



穂乃果「ねえねえ、ちょっと思ったんだけど。この川の中、歩けないかな?」

海未「川の中を歩く?」

穂乃果「うん。この川すごく浅いし、川底は砂利になってるから歩きやすそうじゃない? それに反して周りは背が高くて固い草ばっかりでしょ。さっきから歩きにくくて歩きにくくて・・・」

海未「なるほど。靴が水浸しになりそうですが、昨日から雨上がりの草むらを歩いていて既に濡れているから今更ですしね。分かりました、休憩が終わったら今度は川の中を歩いてみましょう」






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休憩後



ジャバ ジャバ

穂乃果「つめたー! 川の中歩くのって気持ちいねーっ!」ジャバジャバ

海未「はい。それに穂乃果が言った通り下は砂利になっているから歩きやすいですね。グイグイ進めます」ジャバジャバ

穂乃果「はーっ・・・でもちょっと疲れた・・・。少し休んでもいい?」

海未「えっ、さっき休んだばかりですよ」

穂乃果「ちょっとだけ」

海未「まあ、構いませんが」

穂乃果「ふーっ・・・」






          < ガサガサ



穂乃果「あれっ? なんだろう?」

海未「どうしました?」

穂乃果「向こうの草むらが動いたみたい。何かいるのかな?」

海未「またヘビでは?」


    ガサガサ


穂乃果「あっ、ほら、また動いた」

海未「ええ、確かに」

ことり「何かいるね」

海未「あの大きな草の揺れ方・・・。結構大きい何かがいますね。少なくともヘビではなさそうですが・・・」

穂乃果「もしかして・・・人?」

ことり「人?! 助かる?!」





178: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:25:57.71 ID:SJmQbfnb0


海未「・・・・そうだったら嬉しいですが・・・・まさか」

ことり「声掛けてみる?」

海未「いえ、待ってください。とりあえず身を隠しましょう」

穂乃果「隠れるの? なんで?」

海未「説明は後で。あそこの幹の太い木の影に隠れて、静かにじっとしましょう」コソコソ



 ガサガサ

穂乃果「あっ、また動いた」

ことり「どうして隠れるの?」

海未「・・・・・私としたことが、すっかり忘れて今まで無警戒でした」

穂乃果「え? え? 何、なんなの? 何の話?」

海未「夏の北海道・・・その大自然・・・。あれは、これ以上にない危険な動物かも・・・」

ことり「危険な動物・・・? それは・・・?」ゴクッ

海未「それは・・・」


海未「熊です」


穂乃果「くま・・・」

ことり「くまぁ・・・・」


ガサガサッ


ことり「ぴぃ! ま、また揺れた・・・」

穂乃果「ど、ど、ど、ど、どどどどうしよう・・・!」ガタガタ

海未「おちおち落ち着いてくだしあ! 何もしないでじっとするんです!」アタフタ

穂乃果「何もしなかったらやられるだけだよ! こっちから先制攻撃だよ!」

海未「素手で熊に勝てるはずがないでしょう! ここは、ひとつ弓で・・・」

穂乃果「弓なんてどこにあるのっ?!」

ことり「漫才してないで静かにしてっ」

海未「あっ・・・す、すいません、取り乱してしまって・・・。静かにしてましょう。このままやり過ごせればそれが一番です」






179: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:28:41.68 ID:SJmQbfnb0



ガサガサガサガサッ


穂乃果「うわうわ?! 寄ってきてる! こっち来てる! こっち来なくていいよ! こっち見てるって! こっち見てる! 大きい! 大きいって! 熊だよ熊! あんなデッカイ猫はいないって!」

ことり「静かにしてって。来てないけど、ちょっとよく見えない」

海未「火(>>0�とか焚いた方がいいかもしれませんっ万が一の時は火だ火ですよ! ちょっと燃やせるものを、薪とか、ちょっと沈着冷静に。私ちょっと万が一の場合に私バリケード作ります!」ガサガサ

 ※ ヒグマは火を怖がらないらしいです


穂乃果「冗談じゃ・・・冗談じゃないよぉ・・・ねえ、どっか行った?!」

ことり「どっか行ったかだけ見とかないと。本当にクマさんだった?」

穂乃果「熊だって!」

海未「熊ですよ! あの歩き方見ましたもん!」

ことり「いやでもね、なんか違うんじゃないかなあ?」

穂乃果「穂乃果見たもん! 熊だよ!」







ガサガサッ・・・・

   ピョン




ことほのうみ「「「あっ」」」










 キツネ「・・・・・?」







穂乃果「 キ ツ ネ で し た 」

海未「はぁー・・・なにってもー・・・。びっくりしましたよー・・・」ヘタッ

ことり「やーん♪ かわいー♪ こーんこーん」

穂乃果「ね。キツネだったね」



 キツネ「!」タタッ







180: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:33:18.61 ID:SJmQbfnb0



穂乃果「あっ、行っちゃった」

ことり「またねー」

穂乃果「それで、海未ちゃん・・・。海未ちゃん、冷静沈着にバリケード作ったね」

海未「ええ」

穂乃果「これは、どうかなぁ・・・そのふにゃふにゃの葉っぱとか枝が熊に対して意味があるのかなぁ。それと燃やせるものとか何とか言ってたけどさぁ、これはなんだい?」

海未「いやっ、探したんですけどこれぐらいしかなかったんですよ。でも、いざとなったらこれで抑えるつもりでした」

穂乃果「そんなバナナ・・・」

ことり「キツネさんかわいかったねー。また会いたいなー」

海未「でも、気を付けてください。キツネも安全な動物とは言えませんから」

穂乃果「そうなの? 野生だとやっぱり凶暴で噛みついてきたりするのかな?」

海未「それだけならいいのですが・・・・。北海道のキツネの多くはエキノコックスという寄生虫を持っているので」

ことり「あ、なんか聞いたことがあるかも」

海未「はい、エキノコックスは人にも感染する、致死性のある危険な寄生虫です。キツネに噛まれたりすると、そこから感染します」

穂乃果「死ぬかもしれないの? お、恐ろしい・・・」

海未「他にも経口感染の可能性もあります。例えばキツネが齧った野草や果実、キツネが浸かった川の水を人が口にするとそれで感染することも」

穂乃果「えっ?! 穂乃果さっき、この川の水を浴びちゃったり飲んだりしたけど大丈夫だったかな・・・?」

海未「生水のまま飲みさえしなければ大丈夫です。さっきはちゃんと沸かしてから飲みましたよね。仮に生水のまま飲んでいたとしても川の水から人がエキノコックスに感染することは稀だとか」

穂乃果「よかった・・・」

海未「まあ、エキノコックス云々より、生水には他にも危険な寄生虫や菌がいっぱいいるかもしれませんから、生水は飲まないようにしましょう」

海未「とにかく、エキノコックスは怖いのでキツネを見かけたら可愛いからと言って不用意に近づかず、こちらから威嚇して追い払いましょうね。エサを与えるなどもってのほかですよ。感染したキツネが人に慣れてしまったら大変です」

ことり「えー・・・追い払っちゃうのー? でもしょうがないねー・・・」シュン






181: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:37:22.77 ID:SJmQbfnb0


海未「キツネはそれでいいですが、それより今一番恐ろしくて危険なのは熊ですよ。こんな北海道の山奥、いつ熊が出てきてもおかしくありません」

穂乃果「確かに・・・。熊、怖いなぁ・・・」

海未「熊は意外と臆病なので、姿が見えないうちはこちらから大きな音を出していれば寄り付きません。笛とか鈴とか、何か大きな音が出せるものがあればいいのですが・・・」

ことり「ことりは持ってないよ」

穂乃果「穂乃果も・・・・」

海未「そうですよねぇ・・・。本来なら北海道の山に入る際は、熊鈴とかベアスプレーなどが必須なのですが、私としたことがすっかり失念していて・・・・。困りました・・・」

穂乃果「クマったねぇ・・・ぷくくww」

ことり「ひっくち」

海未「他に何か大きな音を出し続けられる物はないでしょうか・・・うーん・・・」

穂乃果「あっ、あの・・・えと、その・・・。あっ! あった、あるよ! 大きい音が出るの!」

海未「本当ですか? 何です?」

穂乃果「これだよ! これ!」チョイチョイ

海未「ん? 首?」

穂乃果「首じゃなくて喉!」

ことり「あっ、なるほど!」

海未「声というわけですか」

穂乃果「そう! 声! 歌いながら歩いたらよさそうじゃない?」

ことり「いいかも♪ 歌えば元気も出そう!」

穂乃果「この三人だったら、ファーストライブの時の」

ことり「START:DASH!! かな?」

海未「それもいいかもしれませんが、なるべく大きな音がいいので」

穂乃果「じゃあ、ライブで一番盛り上がる曲にしよう!」

ことり「ライブで一番盛り上がる曲といったら」

海未「あれしかありませんよね」

穂乃果「あ、やっぱり? 穂乃果もあの曲だと思うんだけど」

ことり「みんな同じ考えみたいだね」

穂乃果「いっせーのーせっ、で曲名を言おうっか」

海未「いいですよ」

ことり「賛成♪」

穂乃果「いくよっ!」

穂乃果「いっせーのっせっ!」







182: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:38:52.06 ID:SJmQbfnb0




ことり「ノーブランドガールズ!」
穂乃果「No brand girls!!!」
海未「スノーハレーション!」



ことほの「・・・・・」

海未「・・・・」無表情






穂乃果「それじゃあ、いっせーのーせっ、で言おうっか?」

海未「い、いいですよ」汗タラタラ



穂乃果「No brand girls!!!」
ことり「ノーブランドガールズ!」
海未「No brand girls!」







183: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:43:05.65 ID:SJmQbfnb0




穂乃果「イエーイ! そろったね!」ハイタッチ

ことり「素晴らしー♪」ハイタッチ

海未「ええ、それがμ’sです」ニコ



穂乃果「それじゃ早速、歩きながら歌おうっか♪ いくよっ...コホン   ジャ ジャンジャンジャン ジャージャー」テクテク

海未「オーイエー!」テクテク

穂乃果「ジャ ジャンジャンジャン ジャージャー」 テク テク

ことり「おーいえー!」

ことほのうみ「「「いっしんいっちょー!!!」」」

穂乃果「ほらっ、ハッ、まっ! けないよ・・・・ねっ!」  テク  テク

海未「悔しーなら ハッ ノーブラ・・・・ン」 ...テク ...テク

ことり「しられてーないよーのーぶらーん♪」

穂乃果「なーにもかーもこれー ハァハァ カラー... はひぃ・・・・」 .....テク .....テク

ことり「? どうしたの?」

海未「歌いながら・・・はぁはぁ・・・・歩くのが・・・・地味に、辛い・・・です」

穂乃果「・・・・うん」

ことり「ありゃりゃ」

穂乃果「サビの所だけ三人で順番で歌っていこ・・・」

海未「そうしましょう・・・・」



 ハイ

  ハイ

   ハイ










184: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:46:29.05 ID:SJmQbfnb0


----------------------------------------
◇ 7月29日 15:00 晴れ



穂乃果「はぁ、ひぃ・・・はー・・・ハックシュッ! あー、なんかくしゃみでた」

海未「寒いダジャレばっかり言っているからですよ。遭難中だと言うのに」

穂乃果「そうなのー?」

海未「そうなんです」

穂乃果「そっかー、そうなんだー・・・」


穂乃果「ね、ねー、海未ちゃん。今日はここらへんでテント張って休まない?」

海未「えっ、もうですか?」

穂乃果「うん・・・ダメ・・・かな?」

海未「う~ん・・・」

海未(なんでこんな早くに? 川の中なら歩きやすいし、日だってまだまだ高いのに)


穂乃果「はぁっ・・・はぁっ・・・」クラッ


海未(・・・・穂乃果、辛そうですね)

海未(食糧はもうほとんど残ってないですし、体力的にもそろそろ限界ですし・・・今日中に人里に出られないと正直言って危険なのですが・・・・)

海未(といっても、後どれくらい歩けばいいか検討も付かない状況ですし、無理をしない方が得策ですかね・・・)


海未「・・・・・・・分かりました。テントを張って今日は休みましょう」

穂乃果「うん、ごめんね、ありがとう・・・」










185: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/27(金) 05:53:39.11 ID:SJmQbfnb0


----------------------------------------
テントの中
寝る前



海未「熊が近付いてくるといけないので、離れた所に食料を置いてきました」

海未「・・・・食糧といっても、バランスパワーが残り一箱だけなんですけどね」

穂乃果「そっか・・・もうそれだけしかないんだ・・・・」

穂乃果「フキはたくさん手に入るけど、味噌はもうないから水煮にしかできないんだよね。だけど水煮だとなんかすごく食べにくくて・・・・。2~3本口にしたあたりで急に喉がフキを受け付けなくなっちゃうの・・・」

海未「それもありますけど、やはり野草だけでは歩き続けるのに必要なエネルギーは得られないので、これからは歩きながらでも果実やヘビ、カエル、後は昆虫なども見つけ次第獲って食べるようにしましょう」

穂乃果「うぇ・・・。で、でも、何か食べないと動けないもんね・・・背に腹は代えられないや・・・」


海未「・・・それと、大事なことが一つ。穂乃果、ことり、よく聞いてください」

ことほの「?」

海未「運悪く熊と出くわしてしまった際の対処法ですが・・・」

穂乃果「う、うん」

海未「まずは、熊の接近に警戒する事です。熊はあの巨体ですし動く時は大きな音が出ます。それに獣の臭いも結構するとか。音と臭いに常に注意します」

海未「もし近くにいると分かったその時は、気が付かれずにやり過ごせるのが一番です。今日みたいに、木でもなんでもいいので何かに隠れましょう」

海未「次に、もし熊に気が付かれてこちらに向かってきたら、持ち物や服を脱ぎ捨ててそれに注意を引きつけて、なおかつ熊とこちらの間に木などの遮蔽物を挟みつつ、ゆっくりその場から離れます」

海未「それでも、熊がこちらに向かってきた場合ですが・・・」

穂乃果「・・・全力で逃げる?」

海未「それが一番やってはいけないことです。熊はあの巨体で時速50㎞近いスピードで走るとか」

穂乃果「50キロぉ!?」

海未「はい、本気で狙われたら100m走の世界チャンピオンでも逃げ切れないでしょう」

穂乃果「そっか・・・あっ! 熊に襲われそうになったら死んだふりがいいって、絵里ちゃんが言ってた!」

海未「それは誤った知識です。本当にロシアに住んでいたんですかね絵里は。死肉も熊にとっては重要なタンパク源ですから、熊の前で死んだふりなどしたら容赦なく襲われますよ」





188: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 02:55:38.02 ID:SxUcyadD0


穂乃果「Music S.T.A.R.T!!のドラマパートで言ってたことは間違いなんだ・・・。じゃ、じゃあ、熊が向かってきたらどうするの・・・?」

海未「・・・・私が戦います」

ことり「えっ?!」

穂乃果「はっ? な、なに言ってるの・・・?」

海未「北海道にいる熊はヒグマという種類で、大きいのは、体長3m、体重300kgにもなります。穂乃果はホテルのテレビで旭山動物園のヒグマを見たから分かりますよね。文字通り地上最強の肉食動物と言えます。普通に考えて人間が素手で勝てるはずがありません」

穂乃果「だったら、どうして海未ちゃんが戦うことになるの・・・?」

海未「先ほども言ったように、熊に狙われたら絶対に逃げ切れません。そして襲われたら絶対に勝てません」

穂乃果「・・・・・」

ことり「・・・・・」

海未「・・・・しかし、むざむざと無抵抗に殺されてしまうくらいだったら」

海未「・・・・悪あがきをしてみます。頭を腕で守って一気に熊の懐に入り、ナイフで熊の頭部に一太刀でも浴びせることができたのなら、わずかながら勝機が生まれます」

海未「・・・・仮にそれが上手くいかなかったら、私は熊に襲われるでしょう。その間に・・・穂乃果、あなたがことりを抱えて逃げてください」

穂乃果「・・・・・何言っているの・・・海未ちゃん・・・それ、おかしいよ」

海未「おかしくはありません。私は園田道場の娘として、日々武道の鍛錬を積んでいます。この三人の中で熊と戦って一番善戦できるのは私です」

穂乃果「海未ちゃんのバカ! そういうこと言ってるんじゃないよ!」

海未「バカ・・・? 私は至って冷静な考えを述べているつもりですが」

穂乃果「そうじゃないよ! ・・・・ばか。海未ちゃんの・・・・ばかあ!」

海未「・・・・・」

穂乃果「・・・・・ばか」グスッ

海未「・・・・・・・」

ことり「・・・・・・・」






ことり「クマさんやっつければお肉食べられるんだよね・・・」ジュルリ

穂乃果「お腹減ったね」クゥ...

海未「はい・・・」クゥ...









189: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 02:58:37.89 ID:SxUcyadD0


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◇ 7月30日 9:30 晴れ



穂乃果「くー・・・すー・・・」zzz

穂乃果「んっ・・・んぁ」パチッ


海未「やっと起きましたか」

ことり「おはよう、穂乃果ちゃん」

穂乃果「んっ、んー、おはよー・・・ふぁー」

海未「疲れが溜まっている所すみませんが、そろそろ出発したいので起き上がってください」

穂乃果「んっ、わかったー」ムクッ

...カクッ

穂乃果「はれっ」

海未「? どうしました?」

穂乃果「あっ、う、ううん。なんでもない」

海未「本当ですか? 何かおかしかったらすぐに言ってくださいよ」

穂乃果「大丈夫。ちょっとお腹減って力が出てないだけだと思う」

海未「空腹ですか・・・。分かりました、今日も歩きますのでバランスパワーを食べてください。これが最後の一箱、残り四本です。今は私と穂乃果で一本づつ頂き、残りの二本は本当にいざと言う時のために可能な限り最後まで取って置きましょう」

穂乃果「残り二本は取って置くんだね。でもそれだと、ことりちゃんは・・・」

海未「ええ・・・。ことり、すみませんが・・・・」

ことり「うん分かってる。ことりは食べなくても大丈夫だから」

穂乃果「ごめんねことりちゃん・・・。いただきます」パクッ モグモグ



海未(食糧がもうない・・・。本来ならもっと積極的に食べられる野草などを探しに歩き回りたいですが、そうするとことりを一人にしてしまいます。一人になると熊に襲われる可能性が高くなって危険・・・)

海未(ナイフを持っている私が常に穂乃果とことりの傍にいないといけない。・・・もどかしいですね)









190: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:03:25.01 ID:SxUcyadD0


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◇ 7月30日 11:00 晴天



 < ミーン、ミーンミンミンミー
 < ジーーーー
 < カナカナカナ・・・



穂乃果「うっ・・・ぐっ・・・」 ザッ ザッ

海未「はぁっ、はぁっ・・・」 ザッ ザッ

海未(今日は雲が無くて日差しが強い・・・。気温が高くてうだるような暑さ・・・。セミは元気ですが、私達には相当堪えます・・・)

海未(それと、歩きながらでも何か食べ物が見つかればとも思っていましたが、そう都合よく手に入る訳も無く・・・)

海未(空腹と疲労で・・・・・頭がクラクラしてきて・・・体の感覚がだんだん無くなってきました・・・)


海未「はぁっ、はぁっ・・・」 ザッ ザッ


海未(こうしてことりを背負って歩くのは今日で何日目でしたかね・・・・・)


海未「んっ・・・・かはっ、うぅう・・・はぁはぁっ・・・」 ザッ ザッ


海未(・・・・・やめましょう・・・思い出すことに無駄なエネルギーを使わない方がいいです)


海未(・・・・お腹減った。やはり残っているパワーバランス、今食べてしまいましょうか)

海未(・・・・食べたい・・・食べたい、食べたい食べたいタベタイタベタイタベタイ...)

海未「んっ・・・!」頭フルフル

海未(だ、ダメです・・・・。残しておかないと・・・)



穂乃果「はぁ、うぐっ・・・うっ・・・」クタッ....

海未「はぁっ・・・んっ? ほ、穂乃果・・・? どうしました?」

穂乃果「うっ・・・ううん。ちょっとお腹が減っているだけ」

海未「そ、そうですか・・・。・・・でも、すみません、残りの食糧はいざというときのために・・・」

穂乃果「うん、分かってる、取って置くんだったよね。我慢するから。さあ、行こう」グッ
 ....クラクラッ

穂乃果「はっ・・・? あ、あれ・・・?」ドシャ

穂乃果「立てなっ、んっ・・・んぐっ、ゴホッ! ゴホゴホッ! うっ・・・! ぉ゙ぇ゙、うぅ・・・」ヘタッ....

ことり「ほのかちゃん?!」

海未「どうしたんです?!」





191: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:07:56.02 ID:SxUcyadD0


穂乃果「うっ、んっ・・・・ご、ごめん・・・ちょっと、もう、無理かも・・・」グッタリ

海未「えっ? えっ?!」アセアセ

穂乃果「最初のうちはね・・・太陽が出てきて 暑い だけだ って 思って たんだけど・・・・はっ、ごほっ・・・」

穂乃果「頭の中がグチャグチャになって・・・力が入らなくて・・・荷物に体が潰されそうで・・・・」

海未「わっ、分かりました! とりあえずザックは降ろして横になってください!」

穂乃果「うん・・・」ペタン

穂乃果「んんっ・・・。これ・・・風邪かなあ・・・ごほっ・・・」

海未「穂乃果・・・」

海未(この症状は一体なんでしょう・・・? 本当にただの風邪・・・? 熱中症? ハンガーノック? 気が付かないうちに毒ヘビやヒルに噛まれて何らかの感染症が・・・? あるいは、野草や川の水を口にして寄生虫にあたった・・・?)

海未(医学の知識が無いので分かりません・・・。応急処置もどうすればいいか・・・・)

海未(見守る事しかできないのでしょうか・・・・)


海未「・・・・・ことり、一旦降ろします」

ことり「うん」

海未「うっ・・・すみません・・・私も汗だくて・・・。べとべとで気持ち悪かったですよね・・・」

ことり「ううん」


穂乃果「うっ、ゴホッ、ゲホッ・・・はぁっ・・・はぁはぁ・・・」

ことり「穂乃果ちゃん・・・」ナデナデ

穂乃果「んっ・・・」


海未「・・・・・・・・」

海未(どうしましょう・・・。ここでテントを張って穂乃果をちゃんと寝かせましょうか。でも、またこんな所で留まっても食糧は無いし・・・進まないともう後がありません)

海未(かといってこの状態の穂乃果に無理をさせる訳にはいきません・・・。穂乃果が回復するまでここにいないと・・・)

海未(・・・・そもそも、穂乃果はこのまま休んでいるだけで回復するでしょうか?)

海未(そんなの分からないですよ・・・。ならば、なんとかして病院に連れて行かないと・・・・。そのために適切な判断と行動が求められています)

海未(・・・・・しかし、今までの私の判断はつくづく裏目に出て・・・それで穂乃果とことりをここまで苦しめてしまった。これ以上の判断ミスは・・・さすがに命に係わる気がします・・・)

海未(なんとか・・・私がなんとかしないといけないのに・・・・・・)


海未「・・・・・・・」


海未「・・・・・・・・・はぁ」






192: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:13:34.29 ID:SxUcyadD0


海未(何を考えても、何をやっても上手くいく気がしません・・・)

海未(無力です・・・・・私はなんと無力なのでしょう・・・)

海未「・・・・・」項垂れ


ことり「・・・・・・」ナデナデ

穂乃果「んっ、んん・・・・すぅ」


海未「・・・・・・・・」




ことり「・・・・・海未ちゃん。何か思い詰めてない?」

海未「えっ・・・?」

ことり「難しい顔しているんだもん」

海未「・・・・・・。ええ、そうですね。このような状況まで陥ってしまった自分の無力さにつくづく情けなさを感じていました」

ことり「無力って?」

海未「・・・・? ・・・ずっと傍に居たことりなら分かるでしょう。こんな山の中を何日も歩き回って、疲れ果てて、食糧はなくこれ以上の野宿はできない。半端な知識で下手に私が指揮を執ってしまったがために、穂乃果の体調は崩れ、ことりにはケガした足に負担をかけっぱなしで・・・私のせいで二人をここまで苦しい状況に追い詰めてしまいました」

海未「どんどん状況を悪くすることしかできない自分が情けなくて仕方がないのです・・・。穂乃果、ことり、本当に申し訳ありません・・・・」

ことり「ううん。そんなことないよ」

海未「・・・何故?」





193: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:21:37.72 ID:SxUcyadD0


ことり「海未ちゃんの背中に乗せてもらってずっと思ってた」

ことり「ことりの足のケガは自分の不注意が原因。ケガさえしなければ海未ちゃんが苦労してことりを背負う必要も無かったのに、海未ちゃんはことりの事を邪魔な荷物みたいな目で見る事は一度も無かったよね。ことりの事を重いと一言も言わなかったよね。ずっとことりの事をことりとして認めていてくれたよね」

ことり「海未ちゃんは、息が上がって、苦しそうな表情になって、体も真っ赤にして、それでもことりを背負い続けてくれた」

ことり「海未ちゃんは一番大変なはずなのに、穂乃果ちゃんとことりのために、一杯考えて、一杯苦労して、一杯我慢して」

ことり「ことりは、たくさんたくさん海未ちゃんに想われながら背中に乗せてもらった。その背中は、すっごく心地よくて、落ち着けて、どこよりも安心できる場所だったよ。そんな海未ちゃんの一体どこが情けないっていうの?」

ことり「大好きな海未ちゃんの、世界で一番近い場所に居られて、ことりは嬉しくて幸せだったよ」


海未「・・・・・・・・」


ことり「・・・・・・・・」ナデナデ

穂乃果「すぅ・・・・すぅ・・・・・」


ことり「・・・・ここまで私達のために一生懸命になってくれる海未ちゃん。本当に強くて、凛々しくて、それでいてとっても優しくて友達想い。海未ちゃんはずっとそう。私が小さい頃、初めて海未ちゃんの事を好きになった日から、少しも変わってない」

ことり「今まで何度も穂乃果ちゃんや私が道を踏み外しそうになったことがあったけど、いつも海未ちゃんが傍に居てくれて、正してくれた。支えてくれた。守ってくれた。絶対に見放さないでいてくれた。海未ちゃんはこれからもきっとずっと同じだと思う」

ことり「そんな海未ちゃんだから、私は貴女の事が大好きで、私は貴女の全てを信じています。きっと穂乃果ちゃんも同じです。こんなにも想っている人がいるのだから、自分を責めないで」



海未「・・・・・・・」


ことり「・・・・・・・・」ナデナデ

穂乃果「すぅ・・・・すぅ・・・・・」






194: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:25:24.93 ID:SxUcyadD0





海未「・・・・・・・・・・・・・。ことり。穂乃果のことを見ていてください」スクッ

ことり「えっ? う、うみちゃん? どこに行くの?」

海未「食料がもうありません。食べられる野草や何かを探してきます」ザッ

ことり「う、うん。気を付けてね」




  ザッ  ザッ


海未(こんな危機的な状況です。生き残るためには常に気を張り詰めていないといけない。それなのに・・・・)

海未(ことりの心地良い声。ことりの心のこもった言葉。ことりの潤んだ優しい眼差し。それを受ける度、私は心が安心してしまう。気が緩んでしまう)

海未(ことりの傍に居ると、ことりに甘えてしまう)

海未(私は二人を守るため傍にいないといけない・・・・・・だけれど、あのままことりの傍にいたら、私は緊張の糸が切れて何もできなくなってしまいそう・・・) ...ウルッ

海未(だから・・・・少しだけ、少しの間だけですから、自分自身を立て直すために、距離を取らせてください・・・すみません・・・・・・) ....グシグシ







195: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:30:50.92 ID:SxUcyadD0


---------------



 < ミーンミンミンミー
 < チィーーーー
 < ジリジリジリジリジリジリジリジリ
 < ジーーーー



 ガサッ ガサッ

海未「はぁ・・・・」


海未(大事な食料探しなのに、全然集中できません・・・)

海未(ヒルが怖い・・・毒蛇が怖い・・・熊が怖い・・・)

海未(なにより体が疲れてしまって・・・)フラフラッ

海未(ことりを降ろした途端、急に体から力が抜けて、脚が物凄く痛くて重い・・・・)

海未(木々の隙間から入る強い日差しが刺さって全身が痛い・・・暑い・・・普通に歩くだけでも、もう辛い・・・・)

海未(こんな弱った姿、穂乃果とことりに見られるわけにはいきません・・・。心配を掛けたくない・・・)

海未(少しだけ・・・少しだけ、そこの木陰に腰を降ろして休みましょう・・・)

 フラフラ...

ストン


海未「はー・・・・」グッタリ

海未(本当に・・・・疲れた・・・・お腹が減った・・・・眠い・・・・) ...ウツラ

海未(んっ・・・寝たらいけません・・・すぐに二人の所に・・・戻らないと・・・・)

海未(その前に・・・食べ物を探さないと・・・でも、あんまり歩き回ったら、熊が怖い・・・) ....ウツラ

海未(・・・・熊がいるなんて・・・つくづく、北海道の山は恐ろしい・・・ですね・・・・・・・)

海未(空腹・・・熊・・・このままでは・・・死) ...ウツラ ....ウツラ

海未(いくらサバイバルの技術があっても・・・・こんな所では・・・・人は生きていけない、ですよ・・・・) ...ウツラ ....ウツラ

海未(生きて・・・いられない・・・・・・・・・・――――)




海未「はーっ・・・はーっ・・・」


海未「はーっ・・・はーっ・・・・・・・・」 ボーッ....








196: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:34:36.49 ID:SxUcyadD0




海未(・・・・・・・)


海未(・・・・・? 本当に?)


海未(・・・・・本当にここで人は生きられない・・・?)


海未(・・・・・最近・・・なにか・・・大事な事を聞いたような)

海未(・・・なんでしたっけ)

海未(・・・・・)ポー



~~~~~~~~~~~~~~~~

おじいさん「我々現代人でもアイヌから学ぶべきことはたくさんあると思うんですよ」

おじいさん「アイヌは本当に『自然との調和』に重きをおく人々だから」

おじいさん「しかしながら、彼らは文章を残すという習慣がほとんどない。だから我々がアイヌの知識を得ることは非常に難しい」

~~~~~~~~~~~~~~~~



海未(――――・・・・・・・・・・・アイヌ・・・? 『自然との調和』・・・?)

海未( ・・・・これは、時計台で会ったのおじいさんの言葉でしたね) ...ウツラ ....ウツラ

海未(アイヌ・・・・)

海未(サバイバルではなく・・・食糧のお菓子や・・・熊を退治する猟銃もなく、アイヌの人たちは昔から・・・普通にここで暮らしていた・・・?)


海未(本当に・・・? 一体どうやって・・・・・?)

海未(『自然との調和』とは、一体どういう意味・・・・?)


海未(・・・・・・・)


海未(・・・・考えても・・・仕方ないですね) ...ウツラ ....ウツラ



海未(・・・それを・・・知る・・・術は無いのですから・・・・)


海未「はぁっ・・・んんっ・・・・・・・」コテン



海未(ね む い・・・・・・・・・) ....zzz



海未「すー・・・・・」zzz










197: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:36:31.25 ID:SxUcyadD0









・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・






 < ミーンミンミンミー
 < ギィーーーー
 < シシシシシシシシ





海未「すー・・・すー・・・」zzz



 ガサッ


  ガサガサッ



「~~~~~~」



海未「んっ・・・? んんっ・・・すー・・・」zzz



...パシッ
  ペシッ



海未「んぇ・・・?」ポヤー...


「しさむ? しくぬおや?」


海未「ほのか・・・? ことり・・・・?」ポヤー...

海未「あっ・・・すみません・・・つい寝てしまっていました・・・」グシグシ

海未「んー・・・・・・・・・・んっ? あれっ? ことり立てるんですか?」



「・・・・?」



海未「あっ?! 違う、ことりじゃない・・・人っ?!!」ガバッ



「?!」ビクッ



海未「あっ! あのっ!! 私遭難してしまっていて!!! それとすぐ近くに病気の友人とケガをした友人が―――」



「さぽぉお!」 タタタタタタ







198: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:38:50.08 ID:SxUcyadD0


海未「あっ、あっ! 待って!! お願いします待ってくださ、んぐっ」カクッ

海未「はぁっ・・・はぁっ・・・・」ヘタッ

海未「体が言うことを聞かない・・・ぜぇ、はぁ・・・・」

   ....タタタ

海未「ああ・・・行ってしまいました・・・」


海未(思わず大声を上げてしまったから驚かせてしまったみたいですね・・・)

海未(せっかく助かるかと思ったのに、私としたことが・・・)

海未「はぁ・・・・」ガックリ



 ガサガサ



海未「んっ・・・?」


「・・・・・」ジーッ

「・・・・・」ジーッ


海未「あっ・・・。もう一人連れて戻ってきてくれました・・・。よかった・・・」

海未(小学生か中学生くらいの女の子が二人。顔が似ているので姉妹でしょうか)


姉「・・・・・」ジーッ

妹「・・・・・」ジーッ


海未「えと・・・」

海未(じっと見られています。警戒しているみたいですね。落ち着いてゆっくり話始めてみましょう)

海未「あの、先程は驚かせてすみませんでした。それで、私は今とても困っていて助けが必要なのです。話を聞いてもらえますか?」


姉「・・・・・?」キョトン

妹「・・・・・?」キョトン


海未「あのぉ・・・?」

海未(よく分からない反応をしていますね。まだ警戒しているのでしょうか。いくらこちらが危機的状況で必死とはいえ、いきなり一方的に助けを求めたら失礼でしたかね・・・)

海未(相手は子供ですし、打ち解けるためにも、まずは笑顔になって砕けた話から始めてみましょう)


海未「コホンッ....。えと、あなた方が着ている服。とても素敵ですね」ニコッ

海未「北海道庁旧本庁舎の展示物で見ました。アイヌ民族の晴れ着ですよねそれ」

海未「私の友達に、裁縫が得意で衣装を作るのが好きな人がいるのですが、その服を着たあなた方を見たらとても喜ぶと思います」




199: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:40:37.98 ID:SxUcyadD0



姉「・・・・・こり」

妹「・・・・・・・」


海未「あの・・・・」

海未(また微妙な反応ですね・・・。どうしましょう・・・)

海未「んー・・・」

海未「・・・・・・」

海未「・・・・・・・・」クゥ

海未「あっ/// す、すみません・・・。朝からほとんど何も食べていなくて・・・」


姉「えいぺるすいや?」


海未「は、はい・・・?」


姉「あんこるこたんおれんえとぅらわあるぱ」


海未「なんと? すみません、もう一度言って頂けますか?」


姉「とあに」テクテク

妹「・・・・」テクテク


海未「あっ、待ってくださっ―――」タッ ...カクッ

海未(うぅ・・・体が痛い・・・・)

海未(それでも歩かないと・・・歩かないと・・・! あの姉妹に付いて行って人里に出ないと・・・! これ以上この山に取り残されたらもう本当に死んでしまうっ!!)

海未「うぐっ・・・ぐぐっ・・・!」フラフラ


姉「・・・・・・」チラッ

妹「・・・・・・」チラッ


海未「んんっ! ・・・・んっ?」

海未(あれ? 待ってくれている?)

海未(待ってくれているなら、慌てなくても大丈夫ですかね・・・?)

海未(慌てないで・・・ゆっくりと・・・・。ゆっくりなら・・・歩けそう・・・)ヨロッ


海未「んぐぐ・・・」ヨロッ... ヨタヨタ


姉「・・・・・」テクテク チラッ

妹「・・・・・」テクテク チラッ


海未(やっぱり。私が付いてくるのを待ってくれている)

海未(よかったぁ・・・・。このままあの姉妹に頼れば助かりそうです)






200: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:42:54.97 ID:SxUcyadD0



海未「あの、ありがとうございます。もう本当に死ぬかと思っていたものですから。なんとお礼を言ったらいいのか」


姉「・・・・・」テクテク

妹「・・・・・」テクテク


海未「・・・・・・・」


海未(なんか上手く会話ができませんね・・・。さっきから彼女らが話している言葉、日本語のような、そうでないような・・・。意思疎通がちゃんとできないまま、この姉妹に付いて行って本当に大丈夫でしょうか・・・?)

海未(・・・・疑っても仕方ありませんね。私が他にできることはないのですから)



---------------



姉「・・・・・」テクテク

妹「・・・・・」テクテク


ガサガサッ  トンッ


海未「はぁはぁ・・・」ヨタヨタ

海未「あっ、これは道・・・?」

海未(人の手によって踏み固められたであろう地面。今までずっと藪の中を歩いていただけに、とても歩きやすく感じます)

海未(この道を行けば人里に出られるのでしょうか。一気に希望が湧いてきました)

海未(でもまだ気を緩めてはいけません。ちゃんとした救急を呼べるまで、しっかりこの姉妹に付いて行かないと・・・)ヨタヨタ


姉「・・・・・」テクテク

妹「・・・・・」テクテク

海未「ふぅ、はぁ・・・」ヨタヨタ



姉「・・・・・てれ」ピタッ

妹「・・・・・? ・・・・?!」ビクッ


海未「はぁ、んっ・・・ん? どうして止まるんです?」


姉「らっちやん」

妹「・・・・・・」フルフル


海未「・・・・・」

海未(これは・・・・。なんとなくですが、空気が張りつめているような気がします)

海未(お姉さんの方は真剣な表情になって、妹さんの方はお姉さんの背中に隠れて何かに怖がって怯えているような・・・)






201: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:45:43.06 ID:SxUcyadD0



      ...トッ トッ トッ トッ


海未(?! 道の向こうから何かが来る・・・?)

海未(この気配は・・・人じゃなさそうです・・・。人よりずっと強く、鋭く、気高い・・・そんな何かを感じます)


   トッ トッ トッ トッ


海未(く、来る・・・!)




トッ








オオカミ「グゥルルルルルルル」






姉「・・・・・・・」

妹「・・・・! ・・・っ!」フルフル ビクビク



海未「なっ・・・・・」

海未(犬・・・ではありません。お・・・オオカミ・・・? あの野性味あふれる毛並みと、鋭い目つき。そして一般によく見る飼い犬より一回りも二回りも大きい体格に巨大な牙・・・)

海未(そ、そんなのありえません! 日本のオオカミは絶滅したはずなのに・・・・)



オオカミ「グォゥゥウッ ウゥウゥゥゥ」



海未「ひっ・・・・」ビクビク

海未(ものすごい威圧感です・・・。ありえないことだろうがなんだろうが、今目の前にオオカミがいるのは事実です・・・)

海未(オオカミは群れで協力し、非常に高度な連携で獲物を狩ると聞きます。時にはあのヒグマさえも仕留める事があるとか・・・)

海未(熊より強いなんて、お、恐ろしい・・・。も、もしかしたら、既にこの周りにも多くのオオカミが待ち伏せている・・・?)

海未(そ、そんな・・・こ、こわい・・・あ、足がすくでん動けない・・・・)ガクガク

海未(で、でも何とかしないと・・・! ここは年上の私がこの姉妹の盾になってでも助けないと・・・!)グッ


姉「らっち」






202: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:54:26.07 ID:SxUcyadD0



海未「へっ・・・?」

海未「・・・?」

海未(よく分かりませんが、『動くな』 ということでしょうか・・・?)

海未(・・・・威圧感が剥き出しのオオカミが目の前にいるというのに、こちらのお姉さんは真剣な表情ながらとても落ち着いていて、冷静にしているように見えます)

海未(・・・もしかして何かができる? ・・・この眼差し、そして全身から感じられる気。私は長年武道の鍛錬を通じて色々な方と組手をしてきましたが、ここまで研ぎ澄まされた気を持つ人を目の当たりにするのは初めてです)

海未(・・・・ただ者じゃありません。その反面、私はもう体力がなく、気が乱れています。ここは私はじっとして何もせず、お姉さんに任せ方が良いかもしれません)




オオカミ「グォルルルルルルル・・・・・・・・・」




姉「いてっけうぇんけうとぅむころやん」

妹「・・・・・・」フルフル ビクビク


海未「・・・・・・」





姉「・・・・・・・・・」

オオカミ「グルルルー・・・・。グウッ、ウゥ・・・・」



姉「・・・・・・・・・」

オオカミ「・・・・・・・・」



姉「・・・・・・・・・」

オオカミ「・・・・・・・・」



姉「・・・・・・・・・」

オオカミ「・・・・・・・クゥン」クルッ

 トッ トッ トッ トッ トッ トッ......





姉「ふー・・・・」

妹「さぽぉ・・・・」グスグス ...ギュ


海未「助かった・・・・」

海未(オオカミの方もこちらを怖がっているようにも見えました)

海未(だからでしょうか。お互い何かしたわけでもなく、私達と会話するように面と向かっていただけ。それだけのことなのに、オオカミは引き返して行きました)

海未(・・・・いえ、言葉で説明できない、目には見えない・・・そんな何か特別な力のやりとりがあったような気もします)

海未(いずれにせよ、不思議な姉妹ですが私を守って頂いたのだし、信頼できる方々ですね)







203: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:58:06.30 ID:SxUcyadD0


---------------



テクテク

海未(だんだんと木々がまばらになってきた。向かっている先から人の声や物音が聞こえます)

海未(人里が近いのでしょう。助かりました・・・。この姉妹に見つけてもらって本当に良かった。感謝してもしきれません)

海未(しかし、お礼を言おうにも言葉が通じないんですよね。歩きながら何か話をしても、相変わらずこの姉妹の話す言葉はよく分かりません。方言でもなさそうですし・・・)

海未(ただ、この姉妹を見ていると言葉なんて些細な事だと思えます)


妹「りむせたねぽ! りむせたねぽ!」トコトコ

姉「おかけいぺ」テクテク


海未(人里が近付くにつれて妹さんも元気が出たようで、はしゃいでお姉さんにくっつきながら歩いています。二人とも仲が良いんですね。見ていて微笑ましいです)ニコニコ


テクテク


海未「・・・・あっ!」

海未(家屋が見えてきまs―――・・・・・・・えっ?)







204: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 03:59:01.43 ID:SxUcyadD0

205: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:01:42.45 ID:SxUcyadD0



海未「家・・・・?」

海未(舗装された道路や電柱など全く無く、茅葺の家々・・・)

海未(まるで時代劇の村に出てくるかのような場所です。現代的な物が何も見当たらない・・・)


海未「一体・・・ここはどこ・・・?」ポカーン

海未「ハッ、あの姉妹は?」キョロキョロ




姉「しさむ」


海未「あっ、そちらでしたか。今行きます」


テクテク





海未(一つの家の前まで歩いてきて、姉妹は二人とも中に入っていきました)

海未「こちらがあなた方のご自宅ですか?」


姉「えんてくさまけたもの」


海未「えっと・・・。お邪魔してもいいんですか?」


タタッ

妹「おっ」ギュ グイッ

海未「わっ、と」


海未(妹さんに手首を掴まれて中に入れられてしまいました)

海未「お邪魔しますね」


海未「・・・・・・」キョロキョロ

海未(臼やカゴ、囲炉裏や毛皮、不思議な文様の布等・・・。色々な物がありますが、電話はなさそうですね・・・)キョロキョロ

海未(どうしましょう・・・)

海未(とりあえず、私かなり疲れているのでここで少しだけ休ませてもらいましょう)


姉「ちぇぷちすうぇ」ゴソゴソ


海未「あっ、料理をされるんですね。魚料理ですか」







206: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:03:27.38 ID:SxUcyadD0


---------------



グツグツ


海未「魚や野草を煮込んだ料理ですね。すー・・・。んんー、良い匂い・・・・」

海未「物凄く空腹なので、この匂いだけでお腹が満たされていくような気がします」


海未(本当にいい匂い・・・)

海未(辺りは静かなのもあって・・・とても気分が落ち着いてきます・・・)


海未「・・・・・・」

海未「・・・・・・」 ...ウツラ

海未「ハッ。いけない、また眠くなって・・・」 ウツラ ウツラ


姉「えしんきちくほっけ」


海未「・・・・はい・・・ありがとうございます・・・・・」コテン

海未「んっ・・・・・」


海未「すぅ・・・・」zzz












・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・













207: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:05:17.48 ID:SxUcyadD0



 < ミーンミンミンミー
 < ギィーーーー
 < シシシシシシシシ



海未「・・・・・・ん」パチッ


海未「・・・・・・」


海未「・・・・・ふー」


海未「・・・・穂乃果とことりの元へ戻らないと」スクッ


 ....ザッ ザッ





---------------





ことり「・・・・・」ナデナデ

穂乃果「んー・・・・・」ムニャ



海未「穂乃果、ことり」


ことり「あっ、海未ちゃん。おかえり」

海未「穂乃果はどうですか?」

穂乃果「・・・・・んぁ、うみちゃん」

海未「穂乃果、歩けそうですか?」

穂乃果「えっ。んー・・・。うん、休んだから、少しは歩けると思うよ」

海未「そうですか。それでは行きましょう」

穂乃果「う、うん」

海未「ことりも。私の背中に乗ってください」

ことり「うん。ごめんね」ノシッ

海未「んぐっ」クラッ

ことり「あっ、ご、ごめん。大丈夫・・・? 海未ちゃんもうちょっと休んだ方が・・・」

海未「い、いえ・・・行かないと・・・大丈夫ですから・・・」フラフラ

ことり「そ、そう・・・?」

海未「私が前を行きます。穂乃果、付いてきてください」

穂乃果「いっ、ゴホッ・・・い、いいよ・・・」フラッ


ザッ ザッ






208: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:08:27.76 ID:SxUcyadD0


穂乃果「あれ? 海未ちゃん、そっちは川から離れて行っちゃうよ? 川沿いに歩くんじゃ?」

海未「こっちでいいんです。ちゃんと付いてきてください」

穂乃果「う、うん・・・・」


ザッ ザッ



---------------



ザッ ザッ

穂乃果「ぜぇはぁ・・・・木がまばらになってきたね。その分日差しが更にきつくなってきた・・・はぁ・・・ひぃ・・・」フラフラ

海未「はぁっ、うっ、ぐっ・・・・・・」フラフラ


穂乃果「はぁ、はぁ・・・・・」フラフラ

穂乃果「ね、ねえ、海未ちゃん? 本当にこの先でいいの? 何も当てが無く進んでいるような気がするんだけど・・・・」

海未「大丈夫です」

穂乃果「そっか・・・うん、分かった」


海未(大丈夫の根拠は? と、聞かれたら、多分私は答えられない)

海未(穂乃果も私も、体調は最悪で体力も既に限界を超えています。これ以上無理をしたら間違いなく力尽きます)

海未(しかし、最後の力を振り絞ってでもこの先に行かなければならない。・・・この先に行けば大丈夫だという絶対的な確信があるから)


海未「信じて私に付いてきてください」

穂乃果「ぜぇ・・・はぁ・・・うん、もちろん海未ちゃんは信じてる・・・」フラフラ


ザッ ザッ













                      ブロロォン.... >





209: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:13:33.67 ID:SxUcyadD0




海未「?!」

穂乃果「ね、ねえ! 今の聞こえた?」

ことり「うん! 車が走る音!!」

海未「行きましょう!」


ザッザッザッザッ


海未「はぁっ、うぐっ、ふっ、んんっ!」

穂乃果「ゴホッ、んっ、はぁっ、うぅ!」


海未(もう力は残ってないというのに、小走りなんかして・・・)フラフラ

海未(膝がちぎれそう・・・心臓が破裂しそう・・・汗の代わりに血が出てきそう・・・)フラフラ

海未(それでも・・・それでもぉ・・・!!) ...ググッ!



ザッザッザッザッ





 ~ パァ..。.+:* ☆


海未「うっ・・・森を抜けて・・・日差しが眩しい・・・・・で、でも!」

穂乃果「辺り一面大きな草原が広がっていて・・・! その先には―――」




ことほのうみ「「「 道路!!! 」」」




海未「はぁはぁ」...フラフラ

海未「・・・・・・・・ハァッ」グッ... ザッ

穂乃果「んんん!!」ググッ ザッ


海未(暑さと空腹と苦痛で・・・視界が歪んできた・・・周りに何があるか分からない・・・でも今は前の道路だけ見えればいい・・・!)

海未(前へ・・・前へ・・・! 前へぇえっ!!!)...ヨロヨロ タッタッ


穂乃果「あっ・・・あっ、あふっ」 ...ヨロッ ズルッ ドシャ

海未(・・・?! 穂乃果が転んで・・・!)



海未「ほ、ほの・・・ぅぐ・・・はぁっはぁっ」

海未(手を・・・貸さないと・・・でも・・・今膝を曲げたら・・・多分もう立てない・・・・・)



ことり「ほのかちゃーん!! 後少し!! がんばって!!」







210: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:25:34.42 ID:SxUcyadD0



穂乃果「んぁ・・・んんぐぅ!」ムク ...ヨタヨタ


海未「はぁっはぁっ・・・ほの・・・か・・・あとすこし・・・ですっ!」 フラフラ

穂乃果「はぁっはぁっ・・・うん・・・! もうちょっとぉー・・・!」 フラフラ


海未(後10メートル・・・・・) フラフラ


穂乃果「ゴホッ! んぐっ・・・はぁっ、ケホッ・・・」フラ


海未(5メートル・・・・3メートル・・・2・・・)タラー...

海未(うっ・・・。汗が目に入って目が見えない・・・。両手が塞がっているから汗を拭えない・・・)

海未(でも道路はもう目の前のはず・・・! このままぁ!!)グググッ



海未「はっ・・・はぁっ・・・・・・・・・・っ!!!」タンッ


穂乃果「つ・・・ついたぁっ・・・・・!!! あぅぅぅ・・もーだめぇ・・・・」 フラフラ... パタリ


海未「かはっ・・・」ガクッ

海未(やっと・・・・・・アスファルトに手を付けた・・・。日に照らされていて熱い・・・ヤケドしそう・・・・。滴る汗がすぐに乾いていく・・・)ポタポタ

海未(でも・・・何日かぶりに触れた人工物・・・。固いアスファルトに触れた手から・・・じわりじわりと、人の温もりと安心感が染みて来て・・・それが体中に巡り渡ってきて・・・・)

海未(全身からが力が抜ける・・・・・・・)クタッ....




ことり「う――ゃん! ほの―――ゃん!!」ユサユサ

ことり「待っ――! 今助―――ら!!  ・・・んぐんんっ!」 ....ズリッ ズリッ


海未「うっ・・・うう・・・」ポヤー....



海未(ことりが何かを言っていますが・・・)

海未(すいません・・・力を使い果たして・・・五感がマヒして・・・よく聞き取れません・・・)

海未(今はただ・・・この道路に触れていたい・・・)






211: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:33:40.18 ID:SxUcyadD0



海未「はぁ・・・はぁ・・・・」ポヤー...


海未(道路・・・・・。この道路、もしかしたらオオカミと出会った道ですかね・・・・)

海未(人を怖がっていたオオカミ・・・・・・。当然人もオオカミが怖い・・・・)

海未(昔の人とオオカミは・・・お互いを怖がっていた。・・・だからお互いの生活圏に干渉せずに共生できていたのでしょうか・・・)


海未(・・・・・・・・・)


海未(・・・“怖い” の一言では不十分な気がします)

海未(怖いというより、多分 “尊敬” かも。相手の強さや生き方をお互いが知っている)

海未(それを尊敬しあっている。だから言葉が無くとも争わずに共生できている)

海未(時計台のおじいさんが教えてくれた『自然との調和』とは、まさにこのことなのでしょうか)

海未(あの姉妹が現代文明から切り離された自然の中であっても、普通に暮らしていられるのは・・・『自然との調和』、それを真に理解しているから)

海未(それに反し私は現代文明から切り離されたことに慌て、サバイバルで自然と闘い生き抜くことで頭が一杯でしたが・・・それだけではダメなんです。それではこのように体を痛めつけてしまうだけ・・・・・)

海未(自然とは、闘うものではなく、尊敬し共生するもの・・・)

海未(それが『自然との調和』・・・。サバイバルなど意識すらしていないであろうあの姉妹程に『自然との調和』を、都会で生まれ育った私が理解することは難しいでしょうが・・・・・・それでも学ばなければなりません)

海未(人は自然無しに生きる事はできないし・・・また、自然の大きな力が時として人を襲うこともあるのだから・・・)



海未「はぁ・・・はぁ・・・・」 クラ クラッ....



海未(とにかく・・・生き延びられて・・・よかった・・・)

海未(『自然との調和』・・・その意味を知ることができて・・・よかった・・・・・・)

海未(ここにきて・・・・よかっ・・・・た・・・・・・・・)



海未「ありがとう・・・ござい・・・まし・・・た・・・・・・・・・・」 ....パタリ










                  ピーポー ピーポー  >



















212: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:35:31.97 ID:SxUcyadD0


----------------------------------------



海未「・・・・んん」

海未「ん」パチ

海未「・・・・?」

海未「・・・ここは?」

海未(私は一体・・・? 白いベッドに寝て、周りは・・・白いカーテンで覆われている)

海未(とりあえず起き上がりましょう)ムクッ

ズキッ!

海未「うくっ!?」ビキビキ

海未(な、なんですかこれは・・・・。全身がものすごく痛い・・・)

海未(体の関節という関節が悲鳴をあげている・・・・。腕や脚の筋肉も、普通の筋肉痛の100倍くらい痛い・・・)

海未(とにかく頑張って起き上がて・・・)

海未「イタタ・・・」ヨタヨタ

 ピンッ

海未(あらっ・・・? 腕に点滴が打たれています)

海未(外れないように気を付けて歩かないと)フラフラ


海未(カーテンを開けて・・・) 


シャー






ほの母「くかー、くー・・・」zzz

ほの父「」


海未「・・・・え?」

海未(穂乃果のご両親が丸椅子に腰を掛けておられる・・・・・?)



ほの父「」クイッ


海未「?」チラッ









213: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:38:03.04 ID:SxUcyadD0


穂乃果「あっ、海未ちゃん!」

海未「ほ、穂乃果っ!」


ほの母「わっ」パチッ


海未「うっ」ヨロッ...

ほの父「」ガタッ ガシッ

穂乃果「あっ、ちょ! うみちゃ! だ、大丈夫っ?!」アセアセ

海未「大丈夫です・・・す、すいません・・・」

穂乃果「もう、海未ちゃん無理しすぎ」

海未「あのっ、ことりはっ?」

穂乃果「大丈夫だよ。穂乃果の向かいのベッド。あのカーテンの向こうで眠ってるよ」

海未「無事なんですか?」

穂乃果「もちろん。ちゃんとお医者さんに診てもらったからね」

海未「良かった・・・。そして穂乃果はどうなんですか? 体調を崩していましたけど」

穂乃果「お医者さんは大丈夫だって言ってたよ。点滴打ってもらって眠ったら大分良くなった」

海未「そっか・・・そうですか・・・。私達・・・・助かったんですね・・・」

穂乃果「うんっ!」

海未「ううっ」ジワッ

穂乃果「海未ちゃん」手差し伸べ

海未「ほのかぁ・・・」フラフラッ.... ギュ

穂乃果「よしよし」手ニギ

海未「も、もうダメかと・・・ぐすっ」ポロポロ

穂乃果「大丈夫だよ。私達帰れるからね」ウルウル



ほの父「」

ほの母「うんうん」コクコク







214: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 04:42:29.43 ID:SxUcyadD0


---------------



海未「あの・・・・。私、道路に辿りついてからの記憶が無いのですが、あの後どうなったのですか?」

穂乃果「うん。穂乃果も気を失っちゃったんだけど、ことりちゃんがケガした足を引き摺って近くの民家まで歩いて救急車を呼んでくれたの」

海未「そんな無茶な事をしたんですかことりは・・・。私が気を失ったばかりに・・・」

穂乃果「うん・・・・。ことりちゃんにはもう足を向けて寝られないよ・・・。あっ、足を向けて寝てた」 ← (穂乃果の向かいのベッドがことり)



海未「それと、穂乃果のお父様とお母様は何故こちらに?」

穂乃果「あぅ・・・/// そ、それはね・・・・/// うぅ///」ウツムキ

海未「・・・??」キョトン



ほの母「それはねー」ゴソゴソ

ほの母「これのおかげかしら?」

海未「? それは、スマホ?」

ほの母「うん。私のね」スッスッ

ほの母「このメールを見て」

海未「メール? 拝見します」ジッ




==============================
Frm:雪穂
Sb:Fw:結婚初夜です。

[穂乃果とことりが向かい合って寝ている画像付き]
==============================







215: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 05:00:01.16 ID:SxUcyadD0


海未「そっ、それは?!/// 札幌のホテルで私が雪穂に送ったメール・・・」

ほの母「穂乃果ったら、家を出発してからひっきりなしに雪穂にメールを送っていたでしょ? だけど海未ちゃんのこのメールを最後に全くメールが来なくなったものだから、その日の夜に雪穂が心配し出してね。このメールを私とお父さんに見せて相談に来たの」

穂乃果「海未ちゃん雪穂になに送ってんのぉ・・・///」

海未「す、すみません・・・なんか寝起きのテンションでつい・・・」

穂乃果「そのメール、私達のお父さんとお母さんだけじゃなくて、捜索の手がかりってことで警察の人とかにも転送されたんだよぉ・・・もぉ、恥ずかしくて・・・///」

海未「け、警察・・・? あの、すみません、どういうことですか?」

ほの母「うん。詳しく話してあげる。このメールを貰った次の日の朝に、お父さんがあなた達が向かう予定だったキャンプ場の管理所に電話したんだけど、そしたら、『それらしい女子高生三人は来てない』って教えてもらってね」

ほの母「あなた達の携帯電話にも何度連絡しても繋がらないし、さすがに嫌な予感がしたから、海未ちゃんとことりちゃんのご両親とも相談して、すぐに警察署に行って捜索願を出しに行ったの」

ほの母「だけど、警察の人が『現時点では事件性があるとは言い切れないので、すぐには積極的な捜索はしない』なんて言うから、私達6人の親で必死に警察を説得してね。特にうちのお父さんなんかね、重い腰を上げない警察に怒鳴ったり掴みかかったりして逮捕されそうに―――えっ? なに、それは言わなくていいって? まあいいじゃない」

ほの母「それでなんとか警察も動き出してくれたんだけど、お父さんはそれでも心配だからって言って、少しでも手がかりを集めるために、あなた達が泊まったホテルや電車の鉄道会社に電話したり、現地の探偵に依頼を出したり。それでも居ても立っても居られないからって、今度はもう自分が北海道に行って直接三人を探しに行くって言って、急に店を閉めて飛行機に飛び乗って―――だからなによもう、本当のことだから言ってもいいじゃない」

ほの母「そしてお父さん北海道の空港に降り立ったはいいけど、この広い北海道のどこを探せばいいのか分からないって言って呆然としてたのよ。ホント後先考えないで馬鹿よねーこの人」

ほの母「でもね、その頃運良く情報が入ったの。あなた達が乗った電車の運転手が、慌てて電車を降りた女子高生らしき三人が居たって覚えていてくれたの。キャンプ場の最寄駅から大分先の駅だったけど、慌てて降りたという点から思うに、多分寝過ごしたんでしょ?」

ほの母「とにかくそれを聞いて、すぐにその駅周辺の地図を確認したわ。そしたら周りが山ばっかりだったから、お父さん、あの後先考えない穂乃果の事だから興味本位で山に入って遭難したんだって推理したの。自分も後先考えない人だからその推理は簡単だったわけね」

ほの母「それからすぐに民間の捜索隊に連絡して駅周辺の山に捜索依頼をしたの。それが終わったらレンタカーに乗ってあなた達が降りた駅に向かって走ったわ」

ほの母「その翌日に捜索隊の人達と一緒に山を探し始めて、そして穂乃果とことりちゃんのバックが見つかって、やっぱりこの山で遭難したんだって断定できた」

ほの母「ちなみにバックが置いてあったその山は人里が近い里山で、林業屋さんが枝打ちとか間伐っていう手入れをしている山だったのよ。だから近くの民家に話を聞きに行ったりもしたんだけど、あなた達が立ち寄った形跡は無かった。海未ちゃんの大きいザックだけは見つからなかったから、もしかしたら山を抜けるつもりで逆に山奥に入ってしまったのかも、って捜索隊の人達と相談して、捜索範囲を周辺の山も含めて広げたわ」

ほの母「そして、ことりちゃんが救急車を呼ぶまでずっとみんなで山の中を探し続けていた。・・・というのが、ここ数日の私達の動きかしらね」






216: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 05:11:57.08 ID:SxUcyadD0


海未「そうだったんですか・・・。最初に私達がテントを張って野宿したあの山は、手入れされている里山だった・・・・。確かに思い返せばあそこは背が高くて真っ直ぐな木しか生えていませんでした」

海未「それなのに私が川沿いに下流に向かって歩こうなんて言い出したものだから、人里からどんどん遠ざかって危険な目に遭って・・・・」

海未「せめてあの場で動かなけば捜索隊に見つけてもらえていたのに・・・・。私はなんと愚かな事を―――」

穂乃果「それは違うよ!!!」

海未「ほ、ほのか・・・?」

ほの母「こーら。病院では静かになさい」

穂乃果「あっ、ごめんなさい・・・」

穂乃果「とにかく海未ちゃんは間違ってないっ」ウルッ

海未「で、ですが・・・・・」

穂乃果「海未ちゃんは、うぅ、間違ってなんか・・・・ぐすっ・・・ないんだから・・・・・・」グスグス

海未「・・・・・・ありがとうございます」



海未「そしてなにより・・・。多くの方々にご迷惑を掛けてしまったようで・・・。北海道に来る飛行機代や、そして探偵や民間の捜索隊に依頼をされたと言うことは、相当な費用が掛かった筈ですよね・・・? もうなんとお詫び申し上げたらよいのか・・・」

ほの母「海未ちゃん・・・・」キッ

海未「・・・・・・」

海未(当然叱られますよね・・・。いえ、叱られるなんて子供の発想です。ちゃんと物や行動でお詫びをしないと・・・例えどんなに時間がかかっても)





ほの母「なーに言ってるのっ! どうせ穂乃果が、いける! いける! って言って海未ちゃんとことりちゃんを山の中に強引に引っ張って行ったんでしょ? 昔からずーっとそうなんだから」

穂乃果「あぅ・・・その通りです、はい」シュン

ほの母「そういえば小学生の頃だったかしら。アンタ、いつもの家出で海未ちゃんを巻き込んで神田明神で野宿しようとしたことあったわよねぇ。ほんっと、その頃から全然成長してないわねー」

穂乃果「たはは・・・面目ない・・・」

海未「あ、あのっ・・・! そういうことではなくてですね・・・! 穂むらはこの時期忙しいでしょうにわざわざここまで来て頂いて・・・それに、警察の方や捜索隊の方・・・色々な人に迷惑を掛けてっ・・・その・・・お詫びとか費用等をどうすれば―――」

ほの母「それはもういいの。私達の方で警察や捜索隊の人達には何度も御礼はしたし、費用の事も気にしなくていいわよ。ことりちゃんはケガしちゃったけど、三人共無事ならそれでもう十分。だからそんなに思い詰めないで。明日からまた普通に夏休みを過ごしなさい」

海未「で、ですがっ・・・」

ほの母「もうっ。海未ちゃんは聞き分けの良い子だと思っていたけど、違っかたのかなー? んー?」

海未「・・・は、はい、分かりました、ありがとうございます。・・・ありがとうございますっ!」ペコリ

ほの母「はい、よろしい」ニコッ

ほの父「」b






217: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 05:15:57.91 ID:SxUcyadD0



海未(・・・・穂乃果同様、そのご両親も昔から変わっていない。豪快で竹を割ったような性格で、私達が何か過ちを犯しても、それについて十分反省していたら、追及しない)

海未(このような素晴らしい方々に囲まれて、私はなんと幸せなんでしょう。いつか必ず恩返しがしたいです)




ほの母「ふふっ。それにしても、この写真の穂乃果とことりちゃん」

穂乃果「うぅ・・・///  うみちゃぁん・・・このメールはないよぉ・・・/// 結婚初夜てなにさぁ・・・///」

海未「す、すみません・・・」

ほの母「時計台でことりちゃんと結婚したんだっけ? このメール見た理事長、笑って喜んでいたわよ」

穂乃果「ちょ!? 雪穂そのメールも理事長にまで転送しちゃったの?!」

ほの母「お父さん。穂乃果はことりちゃんをお嫁さんにもらうんだって。これで跡継ぎも安心ねー」

ほの父「 」ウム


穂乃果「もぉー!///」

海未「ふふっ、早速双方のご両親の了解もあるのですね」ニコニコ










218: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 05:18:39.10 ID:SxUcyadD0


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◇ 8月3日 14:00 晴れ ことりのお部屋



ことり「今日は穂乃果ちゃんのお誕生日。みんなでお誕生日会をやるの。だけどことりは足をケガして動けないから―――」


 < コンコン


ことり「あ、はーい」

カチャ

穂乃果「こっとりちゃーん! きたよー」

海未「お邪魔します。ことり」

ことり「穂乃果ちゃん! お誕生日おめでとう! 穂乃果ちゃんのお誕生日なのにわざわざことりの部屋まで来てもらってごめんね」

穂乃果「ううーんっ! 全然!」

海未「足の具合はどうです?」

ことり「じっとしてれば痛くないし、大丈夫だよ」

海未「元気そうでよかったです。そういえば、山に置いてきたそのことりの枕。戻ってきたんですね」

ことり「うん! 穂乃果ちゃんのお母さんが持ってきてくれたの。おかげでぐっすり眠れているよ♪」モフッ

穂乃果「穂乃果もサリーちゃんが帰ってきてホッとしたよー」

海未「ふふっ、それは良かったです」


ことり「二人は体の方、大丈夫? ものすごく無理していたでしょ」

海未「私はなんともありませんよ。ことりは小鳥の羽の様に軽かったですからね」

ことり「そ、そんな・・・///」

穂乃果「穂乃果はまだちょっと体痛いなー。昨日はほとんど一日中寝て過ごしちゃった」

穂乃果「あ、そうそう。昨日ねー、うちにフェリーで会った外国人さんが来たよ」

ことり「お饅頭を気に入ってくれたあの外国人さん?」

穂乃果「うん。その時は雪穂がお店番しててさー。英語で話しかけられててオロオロしてたよ」

ことり「あはは。でもあの外国人さんは優しい人だったから大丈夫だったでしょ?」

穂乃果「うん! それはもちろん。雪穂ったらそんなことも知らないで、泣きそうな声でさ『お、お姉ちゃーん・・・・』って穂乃果に助けを呼んでた」

ことり「あのしっかり者の雪穂ちゃんが? かわいい♪」


海未「・・・・・」ソワソワ

穂乃果「海未ちゃんどうしたの?」


海未「あっ、いえ、あの・・・。他の皆さんはまだですかね? 私、すごく会いたい方がいるのですが・・・」

穂乃果「すごく会いたい人? 誰?」







219: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 05:42:55.26 ID:SxUcyadD0



カチャ


絵里「お邪魔します」

にこ「穂乃果―。お誕生日おめでとー」



穂乃果「ぅ絵里ちゃん! にこちゃん! ありがとー!」

ことり「いらっしゃい」

絵里「まきりんぱなも来たがってたわよ。でもあんまり大勢で押しかけてもことりに負担を掛けてしまいそうだしね」

ことり「ごめんね。部屋もあんまり広くないし・・・」



海未「・・・・あのっ」

絵里「どうしたの海未?」

海未「希は・・・・?」


希「んー? ウチがどうしたーん?」ヒョコ


海未「希!」タタッ ギュ

希「おっと。びっくりしたなー」

海未「のぞみっ、のぞみっ・・・!」

希「やーん。みんなが見てる前でダイタンやなあ海未ちゃん」

海未「貴女がいなかったら、今頃私達は・・・!」グスグス

希「もう、どうしたーん? しゃーないなあ、ほーら、よしよし」ナデナデ


にこえりことほの「・・・・・・・」シーン


絵里「・・・・・・ほ、ほら! みんな! 今日は穂乃果の誕生日よ! 盛り上がりましょう!」

にこ「そ、そうね! とりあえず乾杯ね! グラス持ちなさい」グイグイ


 カンパーイ!
  カチン







220: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 05:46:22.86 ID:SxUcyadD0


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絵里「今は真姫の病院に通院しているんだったかしら」

ことり「うん! 足の治療で真姫ちゃんの病院にお世話になるのはこれで2回目だから通いやすいよ」

絵里「そう。真姫も絶対に跡は残させないって言っていたから安心ね」




穂乃果「あの・・・にこちゃん、これ借りてたアイドル雑誌なんだけど・・・」

にこ「ああ、それね。ちゃんとこれで勉強し―――んぬぁぁあっ?! すごいクシャクシャになってしかも破れてるぅぅ?!」

穂乃果「ご、ごめんなさい! 色々あって・・・」




希「そっかあ、そんなことがあったんやねえ」

海未「はい・・・」

海未「悪天候の中でのテントの張り方、食べられる野草の知識、危険な野生動物の対処法・・・そういったことを希に教わっていなければ・・・・私や穂乃果とことりは今ここにいなかったでしょう・・・」

海未「そう思うと、私・・・怖くて怖くて・・・うっ、ぐす」ポロポロ

希「そっか。怖かったんやね」

海未「はい・・・一時は本気で死ぬこと以外考えられなくなって・・・・生きることを諦めてました・・・自分を見失ってしまって・・・穂乃果とことりが死んでしまうところも想像して・・・・本当に、本当に怖かったんです・・・!」


希「・・・・・・・・・・」

海未「うっ・・・ぐすっ・・・」


希「・・・・・でもな、海未ちゃん」

海未「はっ、はい・・・・・?」


希「海未ちゃんは今ここにいる。ことりちゃんの部屋で、みんなと一緒に居る。それは間違いなく現実。辛い事を乗り切った証や。だから今は安心して、いっぱい楽しもう?」

海未「はい・・・はい・・・!」ポロポロ




穂乃果「・・・・」ムスッ

にこ「どうしたのよ穂乃果? あんたの誕生日なんだからもっと楽しみなさいよ」

穂乃果「海未ちゃんが・・・」

にこ「海未? 海未がどうしたのよ」クルッ




希「海未ちゃん」抱きしめ

海未「!」

希「がんばったね、海未ちゃん。よしよし してあげる」ポンポン ナデナデ

海未「っ! う、うああああっ」ポロポロ







221: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 05:51:45.94 ID:SxUcyadD0



穂乃果「!!」

にこ「本当にどうしたのかしらね、海未は。さっきからずっと希に泣きついちゃってさ」

穂乃果「何で穂乃果の胸で泣いてくれないの・・・・? 穂乃果と海未ちゃんは一緒に並んでうん○した仲なのに・・・・」

にこ「はっ!? はあ?!! あ、あんたたち・・・。仲良いとは思ってたけど、そんなことまで・・・。連れションってレベルじゃないわよ、それ。マジでやったの?」

穂乃果「マジでやったよ! 木の葉を集めて、それで拭いて、出した後は穴に埋めて」

にこ「うぇ・・・・・・」

絵里「あなたたち! 食事中に何を話しているの! いい加減になさい! チュウしちゃうわよ!!」



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絵里「それじゃあ、そろそろ帰るわね」

にこ「あんたたちはまだ帰らないの?」

穂乃果「うん。もうちょっとだけいる」

海未「私達は家が近いですから」

にこ「そう」


絵里「ことり。大変かもしれないけど、ちゃんと通院してね。お大事に」

ことり「うん、ありがとう、絵里ちゃん」

希「海未ちゃん、穂乃果ちゃん、ことりちゃん。しばらくはゆっくり休みぃな」

海未「はい、ありがとうございます」

希「ほな~」


ガチャ....バタン







穂乃果「・・・・」

ことり「・・・・」

海未「・・・・」



穂乃果「・・・・も、もう。海未ちゃんずるいよ・・・うっく」ポロ

ことり「そうだよ・・・ことりだってみんながいる間だけでも泣くの我慢しようと思ってたのに・・・ひっく」ポロ

海未「す、すいません・・・・希の顔を見てお礼を言おうとしたら、抑えきれなくて・・・・」

穂乃果「ことりちゃん・・・・ごめんね・・・ぎゅっ、ってしていい?」ポロポロ

ことり「うん・・・大丈夫だよ・・・・海未ちゃんもきて・・・」グスグス

海未「はい、失礼しますね」ギシッ


穂乃果「うっ、うぅ。うわあああああっ。怖かったよおおお!」ポロポロ

ことり「ことりもぉ・・・! ケガしちゃって、ただのお荷物になっちゃって、ごめんなさいぃい! 本当にごめんなさいっ!!!」グスグス

海未「荷物だなんてことはありませんでしたよ。私は穂乃果とことりにとても支えられました。この三人だからこそ乗り切れたのです」

海未「穂乃果、ことり・・・本当にありがとうござました」







222: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 05:54:43.24 ID:SxUcyadD0


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穂乃果「うっ・・・・ぐすぐす。ありがとう海未ちゃん」

穂乃果「あっ、そうそう、穂乃果お饅頭持ってきたよ。あの時約束したもんね」

海未「ああ、ありがとうございます穂乃果。今はこれをお腹いっぱい食べたいです」

ことり「ことりもクッキー焼こうとしたんだけど・・・・ごめんなさい。この足じゃキッチンに立てなくて・・・・・」

穂乃果「そんなこと気にしないでよー!」

海未「ええ、そうですよ。気にしないでください。代わりと言ってはなんですが、私もささやかながら食べ物を持ってきました」

穂乃果「え? なになに?」

海未「きっと、気に入って頂けると思います」スッ...

穂乃果「!!! こ、これは・・・・」

ことり「うみちゃん・・・もしかして、それは・・・」

海未「はい、最後の最後まで取って置いた最後のバランスパワーです。ずっとザックの中に入れていたからクシャクシャになってしまっていますが・・・」

穂乃果「食べて・・・・いいの?」ジュルル

海未「ええ。もう遭難は終わりました。確保しておく理由がありません」

穂乃果「分かった。袋、開ける・・・ね」

海未「あ、待ってください。多分中身は崩れているので、お皿の上で開けてください」

穂乃果「うん」ピリ

穂乃果「あら、粉々になって出て来た」パサパサ

穂乃果「それじゃ、このひとかけらを」ヒョイ

海未「私も頂きます」

ことり「ことりも」

パクッ

モグッ





223: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 06:11:28.79 ID:SxUcyadD0


海未「パサパサで、まるで薬みたいな味・・・ですが・・・」

ことり「なんでだろう、噛めば噛む程、涙が出てくる・・・」ウルウル

穂乃果「・・・・うう・・・疲れている上に気が狂いそうな程お腹が減っている時、この味をどれだけ想像したことか・・・」ウルウル

ことり「うん・・・うん・・・」ウルウル

穂乃果「ただの栄養機能食品って思ってたけど、こんなにおいしかったんだねー・・・」

海未「ええ。でもやっぱり、私の中での最高の食べ物は・・・」

穂乃果「ふふ、分かってるよ。はい、どうぞ」

海未「ありがとうございます! もぐもぐ・・・・ああ、やっぱり穂むらのお饅頭は絶品ですねえ!」モグモグ

穂乃果「遭難しているときに海未ちゃんがお饅頭を食べたがってた話をしたら、お父さん、やたらと気合い入れてそれ作ってたよ」

海未「ええ、モグ、そうなんですか、ハグ、お礼を言わないと」モグモグ

穂乃果「う、海未ちゃん、落ち着いて食べようよ・・・」

海未「モグモグ...ゴクン。 す、すいません。あまりにも感激してしまって・・・」

海未「それにしても楽しみです。数年後にはこれよりずっとおいしいお饅頭――いえ、お饅頭に限らず、様々な和菓子を穂乃果から頂けるんですよね、私」ニコニコ

穂乃果「うっ・・・。そ、そうだね、約束したからね。ま、任せてよっ」

ことり「あははっ。・・・でも、ホント、遭難中は食べるのが大変だったよねー」シミジミ

穂乃果「野草食べたり、ヘビ食べたり、虫も食べようとしたり・・・」

海未「ええ・・・虫。夏の山の藪歩きでしたから本当にたくさんいましたよね。ムカデみたいな虫とか、ゴキブリみたいな虫とか色々・・・」

穂乃果「いたいた。テントの中にも結構入ってきてた。でもさ、歩き疲れちゃってて、虫が傍に居る事に驚いたり追い払ったりする元気が無いから、そのまま放っておくしかないの」

ことり「うんうん。その内虫に慣れてきちゃったよね。だからね、ことり、ちょっと前まではゴキブリとか見かけたらすっごい怖かったけど、今なら冷静に退治できる自信があるよ」

穂乃果「頼もしいねー。実は穂乃果ね、将来結婚する人はね、虫を怖がらないで退治できるような頼もしい人がいいなーって思ってたの。やっぱりことりちゃんしかいない!」

ことり「えへへ・・・///」


海未「他にも鉄砲水や熊や毒蛇に怯えたり、怖い事もたくさんありましたけど、それだけじゃなかったですよね」

海未「私が今でも感動が胸に残っているのは、遭難二日目の朝です。二人は覚えていますか?」

ことり「もちろんはっきり覚えてるよ。滝と渓谷とエメラルドグリーンの池だよね。本当にあれは綺麗だったねえ・・・」シミジミ

穂乃果「岩場を登った先から見えた山と雲海もすごかったよねぇ・・・」シミジミ

海未「ええ、本当に。今でも目を瞑ればあの時の光景が鮮明に見える程に印象深かったです」

穂乃果「みんなスマホが壊れていたから、あの絶景を写真に残せなかったのが心残り」

海未「そうですねえ・・・。あっ、そうだ、スマホですよ。穂乃果」

穂乃果「えっ? あっ、そうか。ことりちゃんにこれ渡さないと」

ことり「なあに?」

穂乃果「新しいスマホだよ」

ことり「あ、持ってきてくれたんだ、ありがとう! ・・・・・それで、穂乃果ちゃん、このスマホは・・・」

穂乃果「もっちろん! 携帯電話の中継器が近くに無くても通信できる衛星通信機能付き! 10気圧防水! 落下耐衝撃2メートル! 耐熱・耐寒性能もバッチリ! ついでに広角2300万画素の高性能カメラも搭載!」

ことり「わあ、すごい♪」

穂乃果「穂乃果と海未ちゃんも同じモデルにしたよ!」

海未「予備バッテリーも揃えています。どんな過酷な環境に放り出されようが、これさえあれば死角無しです」

ことり「えへへ。今度同じようなことがあってもこのスマホだったら、撮りたい写真は絶対に撮れるね」

海未「ええ、撮れますね」





224: ◆LXjZXGUZxjdx 2017/01/28(土) 06:17:12.95 ID:SxUcyadD0




穂乃果「・・・・・・・・・」

海未「・・・・・・・・・」

ことり「・・・・・・・・・」




穂乃果「・・・・あの、さ」

海未「なんでしょうか?」

穂乃果「穂乃果ね、二人にお願いと言うか・・・すごく伝えたい事があるんだ。でも、これ言ったら怒られちゃうかもしれない―――あんなに怖くて危険な目に遭ったのに何を考えているんだ―――って・・・」

ことり「ことりも思っている事があるの・・・。ケガをしてお荷物にしかならなかったことりからはすごく言い難いことなんだけど・・・」

海未「奇遇ですね。私もずっと言いたかった事があります。・・・・本当に多くの人に迷惑を掛けて、こんなことを言うのは常識が無いとお叱りを受けてもしょうがないことなのですが・・・」



穂乃果「じゃ、じゃあさ、みんなでさ、いっせーのーせっで一緒に言おうよ!」

海未「そうですね。三人で同時に言い難い事を言うのです。何を言っても、恨みっこなしで」

ことり「うん、賛成♪」



穂乃果「じゃ、じゃあ、言うよ」

海未「ええ」

穂乃果「いっせーのーせっ ―――」
















ことほのうみ「「「 次はどこに行くっ? 」」」








おわり



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